こんにちは、アンダーワークスのシュエンです。今回は2023年9月20日、21日の2日間に渡り、ケルン、ドイツで開催された DMEXCO 2023 の参加レポートの後編となります。まだ前編を読んでいない方はぜひそちらも合わせてご覧ください。
 
今年のDMEXCOは、700人以上のスピーカーによる多種多様なテーマについての講演が開かれました。イベント会場は異なるテーマの14ステージ(eコマースステージ、メディアステージなど)が設置されていて、関心のあるテーマの講演を中心に参加する人もいれば、幅広いテーマの講演「つまみ聴き」する人もいました。
 

そんな数多くのセッションとステージに渡って、頻繁に取り上げられていたトピックの1つは、「マーケティング活動におけるAIの活用」でした。今回の記事では各社・団体の代表者がマーケティングにおけるAIの活用について、どのように解説されたかについて紹介したいと思います。

マーケティングにおけるAIの主な活用方法

DMEXCOのセッションで取り上げられていたマーケティング活用におけるAIな主な活用方法は主に以下2種類でした。
 
・生成系AI(Generative AI)でのコンテンツ作成
・予測系AI(Predictive AI)でのリードセグメンテーション
 

生成系AI(Generative AI)でのコンテンツ作成

生成系AIとは

生成系AIとは、データのパターンや関係を学習し、新しいデータ(コンテンツ)を生み出せるAIの1種です。生成できるコンテンツの種類はテキストに限らず、画像、音声、動画なども含まれます。ChapGPTをはじめとして、2023年には様々な生成系AIのツールが話題となりました。
 

DMEXCO 2023で紹介された生成系AI搭載ツールの例

<テキストの生成>
・Weglot
ウェブサイトのコンテンツを検出し翻訳。単なる翻訳だけでなく、文化・習慣的背景も考慮した上でのコンテンツローカライゼーションの対応も可能。110以上の言語に対応可能。
 
・Bing (Microsoft)
チャット型検索エンジン。ユーザーの検索文章からAIは検索クエリーのデータベースにアクセスすべきかを判断し、判断の結果会話型で返信をする。
 
<動画の生成>
・Synthesia(シンセシア)
撮影の必要は一切なく、テキストのファイルをアップロードするだけで、アバターが話す動画を作成できるサービス。120以上の言語、200種類以上のアバターから生成が可能。用途としては、企業の研修、対顧客コミュニケーションなどが想定される。
 

予測系AI(Predictive AI)でのリードセグメンテーション

予測系AIとは

予測系AIとは、生成系AIと同様データを学習しパターンや傾向を見つけ出し、将来的なデータの変化や起こり得る出来事を予測するAIの1種です。デジタルマーケティング業界においては、数年前から予測系AIの機能を含むツールの普及が進んきていて、今となってはデジタルマーケティングのスタックになくてはならない役割を果たしていると言っても過言ではありません。
 

DMEXCO 2023で紹介された予測系AI搭載ツールの例

・Twilio
動的な顧客セグメント作成。顧客の属性データ、行動データを取り込み学習し、AI予測で簡易な顧客セグメントを作成。
 
・BirdsView
自動的なマーケティングワークフロー作成(現時点ではメールの送信のみがアクションとして可能だが、今後は広告・ポップアップ・WhatsAppのメッセージなどもアクションとして搭載予定)。既存顧客の属性データ、購買データを取り込み学習し、それぞれの顧客に対して最適なワークフローを提示。

デジタルマーケティング業界におけるAI活用

DMEXCO2023では、大半の講演はAIを中心としたテーマ、もしくはAIが言及された内容でした。ここ数年では多くのデジタルマーケティングツールにはAIの機能が搭載されるようになりました。そのため、登場の初期と比較するとAIの活用の難易度はかなり下がり、データサイエンティストやAIエンジニアのような専門バックグラウンドのない人でもAIを活用できるようになっています。
 
今までは「AIが人間の仕事を奪うのではないか」と言われていましたが、今後は「AIを活用できている人」との競争になるではないかと考えさせられました。その中で、自分の競争力を高めるにやるべきことは2つあると感じました。
 
1つ目は、アンテナを張って積極的に最新トレンドをピックアップし自分の業務に取り入れること。
 
2つ目は、業務の中でAIに頼れる部分は頼りつつ、AIではまだできないもしくは満足のいく水準まで持っていけないところはどこかかを理解し、自分で付加価値を発揮できるように工夫すること。
 
この2つを実施できないと、AIを上手に活用し業務に取り入れるマーケターとどんどん差が広がってしまう可能性が高いと感じました。
 

最後に

今後、AIの発展によってデジタルマーケティング業界も大きく影響されることについては理解しているつもりでしたが、今回DMEXCOに参加できたことで、改めてAI技術の進歩の速さを実感することができました。
 
次のDMEXCOは今年と同様、9月にケルンに開催されるそうです。DMEXCO 2024ではどのような新発見があるか、確かめに参加してみてはいかがでしょうか? 

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