こんにちは、アンダーワークスのコンサルタントの稲又です。本日は、2023年2月27日〜3月1日にアメリカのスコッツデールで開かれたB2B Marketing Exchangehttps://b2bmarketing.exchange/の参加レポートをお伝えします。

B2B Marketing Exchangeとは?

B2Bマーケティングをテーマに、 ABMやデジタル戦略など様々な トピックを扱う講演を提供するカンファレンスです。
 
今年は約1,000人が参加し、職種は、マーケティング、営業、経営層が多かったようです。会期中は、大小様々なカンファレンスルームで、約80の講演がワークショップやパネルディスカッションなどの形式で行われました。
 

マーケティングテクノロジーベンダーなど約70社がブースを出展するエリアもありました。
 

カンファレンスの特徴は「Empower and Educate the B2B Community」

B2Bコミュニティの活性化と育成を謳うだけあり、「 参加者間の交流を促す施策」と「学びの多い講演」が豊富に提供されていました。
 
1) 参加者間の交流を促す施策
初日に、参加型ワークショップがいくつかあり、そこではマーケーターや営業が業務上の課題や解決案について積極的に意見を出し合っていました。課題を共有すると、業界や組織が違うにも関わらず、共感の相槌や拍手が起こることがしばしば。B2Bマーケティングにおける共通の課題があることを再認識したと同時に、このようなカンファレンスで横のつながりを持ち、情報交換することの重要性を実感しました。
 
会場では朝と昼に軽食の提供があります。意図してかはわかりませんが、食べる場所は円卓しか用意されていないので、同じテーブルについた人たちが自然と会話をし、ネットワーキングが生まれていました。夜はパーティが開催され、昼間は講演やブースで忙しい出展サイドの人たちともカジュアルに交流できる機会を持てました。
 

<初日に開催された”Opening Night Reception”の様子>


2) 学びの多い講演
協賛企業が登壇する講演も多いですが、営業的な自社サービスの紹介に留まらず、実務的なノウハウや事例が盛り込まれており、参加者にとって有益な情報が出し惜しみなく提供されていました。参加者のほとんどが、パソコンでメモを取ったりスライドを撮影をしていたので、講義としての価値が見て取れました。

講演トピックから見るB2Bマーケターの関心ごと

全講演のタイトルや概要を見て、なんとなく多いと感じたトピックを筆者の主観でまとめてみました!トピックになるということは、B2Bマーケターの関心ごとであると言えるのではないでしょうか。
 
1. Account Based Marketing戦略の実践方法
トピックとして圧倒的に多かったのは、Account Based Marketing(ABM)の概念を、マーケティングや営業の戦略やキャンペーンなどの施策に反映して実践する方法でした。どの講演でも、ABMを戦略や施策に取り入れることは”前提事項”であるように語られていました。

2. 部署間連携の課題と解決方法
次に多かったのは、組織内の異なる部署と連携して、マーケティングファネルや営業パイプラインを最適化するためのノウハウについてです。マーケティング先進国のアメリカでさえ、今だにマーケティング部と他部署の分断を課題に抱えているようで、その難しさをどのような戦略、体制、テクノロジースタックで解決できるかという内容が多くありました。

“前提事項”と前述したABMですが、マーケティングに限定した概念にも解釈されてしまうことから、Account Based Experience (ABX)への定義拡大も唱えられていました。共通の概念の下、他部署との協業プロセスを最適化して、組織横断で顧客体験の向上を目指すことが重要になります。

3. パートナーエコシステムの重要性
B2B取引に占める割合が直販よりも仲介経由が多いことから、パートナー企業とのマーケティング活動の協業を重要視する内容もありました。パートナーエコシスムの中で、協働でリード創出やナーチャリングをする方法やテクノロジーの紹介がされていました。

4. コンテンツマーケティングにおけるAIの利活用
今話題のChatGPTについても言及がありましたが、総じてAIはまだマーケターの職を奪うレベルにはなく、いかに”メンバー”として活用していくべきかと言う文脈で語られていた印象です。今回は、コンテンツライティングやチャットでAIを搭載したツールが紹介されていました。

最後に

アメリカのB2Bマーケティングの最前線で活用する人たちの生の声が聞けるとても良い機会でした。
 
最大の学びは「ABM戦略は組織横断で長期戦で挑むことが成功へのキー」と言うことです。ABM戦略実践における苦労話が出た一方で、「2年かけて軌道にのせることができた」「限られた営業人数で効率良く商談獲得するスキームができた」など多くの成功体験も聞けました。
 
次は、2023年8月にアメリカのボストンで開催予定です。国、業界、職種を超えて課題を共有することで、自分のアンテナ外にある解決策を得ることができるかもしれません。日々の業務に悩みのあるB2Bマーケターはぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

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