• HOME
  • メディアDMJ
  • NFTがもたらす新しい経済圏とは?Web3.0時代のマーケティングを予想

各方面でNFT(Non-Fungible Token)への注目が高まる一方、NFTの影響がそれほど大きなものになる実感がわかない方も多いのではないでしょうか。本記事では、なぜ今NFTが注目されるのか、どんな形でマーケティングを変えていくのか、“Web3.0”を切り口としつつ解説します。

Web3.0を牽引するブロックチェーンとNFT

昨今注目される“Web3.0”というキーワードは、Webサービス全般に影響を及ぼす分岐点が迫っていることを示唆しています。これまでのWebサービスはさまざまな技術革新を伴いながら発展してきましたが、大まかに“Web1.0”と“Web2.0”と呼ばれる時代に分けられます。

Web1.0の時代はWWW(World Wide Web)の黎明期で、情報の受発信者が固定され、単一方向のコミュニケーションが主流でした。そこからSNSが普及したことで双方向のコミュニケーションが盛んなWeb2.0の時代が到来し、プラットフォームを軸とする多様なサービスが生まれていきます。同時に受発信データの容量も増え、動画や音楽を扱うサービスも浸透しました。

Web2.0の時代において、ユーザーの個人情報や行動履歴はプラットフォームを提供する企業に多大な価値をもたらしてきました。デジタルマーケティング領域も、Web2.0に渦巻く膨大なデータを礎に成長し続けています。

一方で、データ取得の基盤構築に成功した各プラットフォームは世界規模で市場を独占し、「GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)」と称される5大企業がIT領域における揺るぎない地位を確立しました。GAFAMの恩恵を受けなければ経済活動に支障が出るほどの中央集権的な現状は、Web2.0が生み出した功罪の一つとも言えるでしょう。
 

Web1.0、2.0、3.0の推移

 
そして、この構図が崩れる可能性を示唆する言葉が“Web3.0”です。Web3.0の時代は、プラットフォームに集約されていた資産を個々に分散すると言われ、GAFAMをはじめとする巨大企業のサービスに依存しない経済圏やソリューションの成長が期待されています。そういった未来の礎となるのが、ブロックチェーンです。

ブロックチェーンとは、暗号化技術の一種であり、あらゆる取引履歴の一連を暗号技術によって結び、正確な情報を鎖のように維持する技術の総称です。改ざんや不正が困難である特徴を活かし、金融業界をはじめあらゆる領域において活用が進んでいます。

そしてこのブロックチェーン上で発行・取引される、偽造不可能な証明書付きのデジタルデータがNFT(Non-Fungible Token)と呼ばれるものです。NFTはデジタルデータに対して資産価値をもたらす手法であり、データに対して唯一無二性を与えることができます。

ブロックチェーンの普及によって、デジタル領域の信頼性を担保するためのプラットフォームが必要不可欠だった時代から、個々が取引履歴を共有して小さな経済圏と信頼を守る時代へと移り変わることが予想されています。また、NFTが台頭することでデジタルデータの商品化が進むと共に、個人による直販が容易になることも期待されています。

こういったことから、Web3.0の時代においては、個人または小さなネットワーク内における分散型の市場が活性化していくと言えるでしょう。デジタルマーケティングにおいては、今以上にもパーソナルかつポータブルな訴求が一般的になっていくのではないでしょうか

唯一無二のデータが市場を活性化する

NFTがもたらす価値については、いくつかの事例から読み取ることができます。

NFTに基づいたデジタルアート作品が、オンラインオークションで約75億円という価格で落札されたことは象徴的なニュースです。この作品の落札者は世界最大のNFTファンド「Metapurse」の創設者、Metakovan氏。そして落札された作品は、デジタルアーティストであるBeeple氏が延べ13年半かけて制作してきた約5000点の作品をコラージュしたものです。落札者であるMetakovan氏は「制作にかかった月日はデジタルハックできない価値」とし、現代アートの文脈で極めて価値が高い作品と評しています。

また、NFTが与える唯一無二性は、ゲームビジネスとの相性も抜群です。オンラインゲーム「CryptoKitties」は、ブロックチェーン上で構築された猫の育成ゲームです。それぞれ生成される猫が唯一無二であることから、猫の価値が高騰し、ユーザー同士が人気の猫のデータに対してリアルマネーを投資する売買が相次いだことが話題になりました。複製不可能なデータを、一人のユーザーが100%分配せず保有するというNFTの特徴を活かした好例です。

世界でたった一つのデータが競争を生み出す市場が活性化することは、広義におけるクリエイターのビジネスに大きな価値をもたらします。ここに挙げたようなアーティストやゲーム開発者はもちろん、Vtuberの3Dアバタークリエイターやイラストレーターといった人々も、今後はNFTに基づく作品や商品を提供することが容易になるでしょう。こうした一連の流れを受け、NFTと共にクリエイターエコノミーが成長すると予測されています。

NFTを活かしたマーケティングの方向性と将来性

では、NFTの浸透やWeb3.0の潮流は、デジタルマーケティング領域にどのような影響をもたらすでしょうか。

まず、ファンマーケティングはNFTによって進化すると考えられます。クリエイターやアーティストとファンの間で、NFTによるデジタルデータの売買が可能になれば、ファンは今よりも希少価値の高いファンアイテムに対して直接的に投資することができます。インフルエンサーやYoutuberといったタレントとのコラボレーション施策でも、NFTは今までにない影響力の起爆剤となっていくのではないでしょうか。

また、NFTを活かした限定配布キャンペーンの事例もあります。マクドナルドはマックリブの40周年を記念して『マックリブNFT』を限定発行し、抽選でユーザーにプレゼントしたことで話題を呼びました。ほか、ジバンシィなど著名なブランドがNFTアートをマーケティング施策として活用する事例も増えており、“限定”の価値を高める手段としてNFTが普及しつつあります。

NFTは、バーチャルな商品を売買したり、交換、配布したりする、これまでとは異なる新たな市場を生み出します。物理的な距離や空間といった課題が取り払われ、これまで実現不可能だった領域におけるビジネスが成長するでしょう。それと並走する形で、マーケティングもバーチャルを舞台とする柔軟な施策が求められていくはずです。

基本軸としては、NFTの特徴を活かすリッチな訴求へのニーズが高まることが予想されます。広く薄くではなく、深く狭く。例えるならば、1万円で購入するアイテムを100人に報せる広告ではなく、数名のユーザーが100万円出してでも欲しくなる一点物の存在を的確な対象に提案する広告を模索する機会が増えるのではないでしょうか。

NFTへの期待が高まる裏で、拭えない現実的な課題

ビジネスチャンスとしてNFTに期待を寄せる企業が増える一方、活用に際してはいくつかの課題も残されています。

まず、NFTの法的位置づけや取引に関する法規制について、日本国内では現状不明瞭です。日本法上、データのような無体物についての所有権は認められていません。つまり、仮にNFTに基づいたデータ売買についてトラブルがあった場合、民法や著作権法上、権利を主張することが容易ではないということです。これからさまざまな成功と失敗を重ねてNFTに関する規制や法律が整備されていくのでしょうが、イノベーターはその先陣を切るリスクを背負わなければなりません。

また、現状はNFT活用事例が少なく、国内に知見が少ないことも企業が足踏みする要因の一つです。先に事例を挙げたような新たな経済圏に挑戦するビジネスを推進するためには、NFTへの知見とイノベーティブな思考が必要です。したがってプロの知見を取り入れるのが妥当ですが、そのプロ自体が不明瞭かつ少ないのが現状です。結局何から始めれば良いのかわからないまま、NFTというキーワードを前に立ちすくんでしまうのも無理はありません。

とは言え、“Web3.0”の到来に乗り遅れず、時代の先端に立って優位性を示していくためには、NFTやその周辺にあるイノベーションを避けて通るのは難しいはずです。まず社内で革新のリードを取る立場として、マーケターは一役買うことになるかもしれません。

イノベーションマインド×マーケター思考でNFT市場へ

NFTは、多方面で価値を生み出すことが期待できる存在です。一方で、現時点ではまだまだビジネスに取り入れるリスクも高く、早々に挑戦することが必ずしも好手とは言えません。こういった現状を受け、マーケターは今後NFTの活用施策を具体的、実現的なものに落とし込む立役者となることを予想しつつ、今後もNFT周辺のトレンドや事例をチェックしてみてはどうでしょうか。

関連記事

デジタルマーケティングジャーナル 一覧