CDPを導入するにあたって、どのように選定すればよいのか迷っていませんか? CDPの機能は多岐にわたるため、選定の基準を定めておくことが非常に重要です。
今回は、導入すべきCDPを選定する際のポイントや具体的な選定ステップについて解説します。スクラッチとパッケージのメリット・デメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
CDPを選定する際に確認しておくべきポイント
はじめに、CDPを選定する際に確認しておくべきポイント3点を紹介します。CDPはデータを収集・統合するツールのため、ツール単体の機能だけでなく導入の目的や運用体制も含めて確認しておくことが大切です。
収集したいデータ・実現したい施策は何か
CDPで収集可能なデータには1st Party Data(自社で収集したデータ)、2nd Party Data(パートナー企業などが取得したデータ)、3rd Party Data(第三者が提供するデータ)などがあります。タグ管理やアクセス解析が可能であるほか、CRMなどの基幹システムとの連携、外部データも含むあらゆるデータを収集・統合できます。
よって、自社にとって必要なデータが明確化されていなければCDPの用途や導入目的がぼやけてしまいがちです。実現したい施策から逆算した上で、収集すべきデータを見極めておく必要があります。CDPありきで考えるのではなく、自社にとって必要なデータ・実現したい施策を起点にCDPを選定していくことが重要です。
運用体制は整理・把握できているか
CDPが扱うデータは複数にわたる部門から収集されるケースが少なくありません。また、統合したデータを活用する部門も複数にまたがるケースがほとんどでしょう。データ収集に際して協力を仰ぐ部門や、統合したデータを活用する部門を整理しておく必要があります。
また、ツール自体の運用はどの部門が担当するのか、具体的な担当者も含めて検討しておかなければなりません。責任の所在を明確にし、導入のロードマップ・運用のフローを作成しておきましょう。
既存システム・ツールと連携できるか
CDPは他のツールと連携させて活用することを前提としています。どの既存システム・ツールと連携させて活用したいのか、連携させるにあたって必須のインポート / エクスポートコネクタがそれぞれ備わっているか、十分に確認した上で導入する必要があるでしょう。
既存システム・ツールと連携させて活用するにあたって、データ利活用の全体像を俯瞰することが求められます。CDP単体で導入すべきツールを考えるのではなく、マーケティングテクノロジー全体を総合的に検討することが重要です。
スクラッチとパッケージのどちらを選ぶべき?
CDPを導入する方法として、スクラッチ(自社開発)とパッケージ(スタンドアローン)導入の2通りが考えられます。それぞれの導入方法について、メリット・デメリットを押さえておきましょう。
スクラッチのメリット・デメリット
スクラッチのメリット
スクラッチでCDPを構築する最大のメリットは、自社の用途に応じて設計できる自由度の高さです。必要な機能に絞って実装できるため、実現したい施策に適したCDPを構築できるでしょう。
また、自社にとってCDP導入は有効かどうか?を試すにあたり、必要最低限の機能に絞ってPoC(Proof of Concept:検証工程)を行うことができ、コストに合わせて開発が可能になるといったメリットもあります。当社でも、BIツールを使用してCDPを構築するプロジェクトや、既にお客様が契約しているAWSを活用してCDPを構築するプロジェクトなど、目的に応じて構築手段を選択しています。
スクラッチのデメリット
一方でスクラッチの場合、CDPを一から構築していくことになるため、要件次第では開発に要するコスト・期間ともにかさむ可能性があります。要件定義や設計に始まり、開発・テストを経てシステムを完成させる必要があるため、実際にデータを取り込めるようになるまでに、相応の期間がかかります。
また、要件定義が不十分だと追加改修が折り重なり、結果として使い勝手の悪いシステムになってしまったり、想定よりコストがかかってしまうことなどが考えられるため、要件定義は相応の期間をかけて丁寧に実施することが推奨されます。
したがって、スピーディな導入を目指している場合や実行すべき施策の開始時期が迫っている場合、スクラッチはCDPの導入方法として不向きといえます。
パッケージのメリット・デメリット
パッケージのメリット
パッケージのメリットは、すでに提供されている既成品を活用するためスピーディに導入できる点です。用途に合ったCDPツールを選定し、導入を決定すれば基本的にはツールを使い始められます。情報の収集・統合以外の求める機能(ML、意思決定機能、セグメンテーションなど)を自社のニーズに合わせて選べる点もメリットといえるでしょう。
ただし、パッケージ製品によっては、データを取り込むにあたってデータの取得設計やデータマートの構築が必要になる場合があります。パッケージ版とはいえ、導入するだけで即座に活用できるわけではない点を理解しておく必要があります。
パッケージのデメリット
パッケージCDPの場合、活用できる機能や連携可能なツールが限られている場合があります。既存ツールと連携可能なコネクタが備わっていない場合、必要なデータを活用できないことも考えられるのです。したがって、パッケージCDPを選定する際には自社の用途・目的に合致しているか慎重に判断しなければなりません。反対に、必要な機能・コネクタが備わっていれば、パッケージCDPのデメリットは問題にならないでしょう。
CDPの選定ステップ
CDPを選定する際の基本的な手順を紹介します。次の5ステップに沿って、導入すべきCDPを見極めてください。
1. CDP導入の検討・選定準備
はじめに、そもそもCDPを導入する必要があるかを検討します。次に挙げる要望がある場合は、CDP導入の効果が期待できるでしょう。
・パーソナライズ
・リアルタイムアクション
・クロスセル/アップセル
・LTV向上
・コンセントマネジメント
CDPが必要と判断されたら、次の手順で最適なCDPを選定する準備を進めます。
1.目的定義:CDP導入で実現したい施策の整理
2.機能要件:必要機能、統合対象データ/ツールの明確化
3.連携先ツールの決定
4.データ件数の把握
データ件数に関しては、収集可能なデータをやみくもに集めるのではなく、目的達成のために必要なデータを収集する視点をもつことが大切です。
2. 開発・導入方法の決定
次に、開発・導入の大きな方向性を定めましょう。スクラッチとパッケージのいずれを選択すべきか、予算や導入スケジュール、費用対効果などを考慮して決定します。まずはパッケージCDPの中から自社の用途・目的に合ったものがないか探し、適したツールが見つからない場合はスクラッチを検討するのが得策でしょう。
3. 必要な機能の確認
収集したいデータや実現したい施策が具現化できる仕組みになるよう、自社にとって必要な機能を決定します。パッケージの場合、必要な機能が備わっているかどうかが選定するポイントの1つとなるでしょう。スクラッチの場合、必要な機能を要件定義や設計の際に漏れなく反映させておく必要があります。機能ありきで考えるのではなく、実現したい施策から逆算して必要な機能を絞り込んでいくのがポイントです。
4. ツールとの連携可否の確認
既存のツール・システムのうち、CDPと連携させる必要のあるものをリストアップします。リストアップしたツール・システムのAPIコネクタの有無を確認し、導入すべきCDPを絞り込んでいきましょう。
スクラッチによる開発の場合、要件定義や設計の段階で連携させたいツール・システムを明確にしておく必要があります。運用開始後にシステムを改修すると、さらにコストや開発期間を要することになりかねません。どのツール・システムとの連携が必須となるのか、抜け漏れなく確認しておくことが大切です。
5. サポート体制の確認
CDPのインプット・アウトプットは多岐にわたることから、運用開始後にさまざまな不明点が出てくる可能性があります。導入後も継続的にサポートを受けられるか、具体的なサポート手段を含めて確認しておきましょう。
CDPは導入がゴールではなく、適切に運用して結果につながることがゴールといえます。運用が軌道に乗るまで十分なサポートを受けられるか事前に確認し、不明点があれば問い合わせて解決しておくことが大切です。
ポイントを押さえてCDPを選定しよう
CDPはツールによって機能が大きく異なる上に、他ツールと連携した活用が前提となるため、ツールの選定ステップも決して単純ではありません。今回紹介した選び方のポイントと選定ステップを参考に、自社の用途・目的に合ったCDPを選んでください。
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