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コーポレートサイトを制作する際には、基本的な制作プロセスとそれに伴う費用の理解が不可欠です。どういった流れでWebサイト制作が進行し、どこにどれだけの費用がかかるのかを把握していなければ、最終的に満足のいくコーポレートサイトを構築するのは難しいでしょう。本記事では、コーポレートサイト制作のフローと費用の考え方について、Webサイト制作のプロフェッショナルが解説します。
 
(解説:アンダーワークス マネージング・ディレクター 田口裕 氏)
 

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コーポレートサイト制作の基本フロー

コーポレートサイト制作には、「基本設計」「構築」「定常運用」の3つの主要フェーズが存在します。これらの段階はコーポレートサイトに限らず、あらゆるタイプのWebサイト制作に共通しています。Webサイト制作を成功に導くためには、これらのフェーズを丁寧に実行することが重要です。各ステップの作業内容をしっかりと理解し、計画に沿って進めていくことが、コーポレートサイト成功の鍵となります。
 

基本設計フェーズ

基本設計フェーズでは、これから構築するWebサイトの目的とビジネス上の要求を明確にし、デザインや機能に関する要件を具体化します。これには、リード獲得、顧客とのコミュニケーションや会員管理といったマーケティングや営業業務に必要な機能も含まれます。要件定義ではWebサイトに必要な要素を総合的に判断し、CMS(コンテンツ管理システム)、インフラ基盤や周辺のツール類を選定し、ビジネス上の要求に基づいてWebサイトと裏側で機能するシステムの要求事項をまとめます。
 

構築フェーズ

このフェーズでは、基本設計フェーズの計画に基づいて実際にサイトを構築します。また、この段階ではWebサイトの詳細な設計、機能群の開発、そして公開するための総合的なシステムテストが行われます。カラーリングやパーツのデザインといったユーザーインターフェースの見た目だけでなく、ユーザーが操作する際のユーザビリティ、様々なユーザーに対するアクセシビリティの担保、社内のビジネスユーザーが求める機能の担保も重要なポイントです。また、Webサイトを公開した後に実施するデジタルマーケティング施策の企画や準備もこのフェーズです。リリース後、Webサイトがどのように機能し、ユーザーにどのように利用されるかを考慮しながら、開発や公開後の施策の企画が行われます。
 

定常運用フェーズ

Webサイトが無事に公開された後は、定常運用フェーズに入ります。このフェーズでは、Webサイトやコンテンツの維持管理、デジタルマーケティング施策の実行、そして必要に応じた機能の追加開発や運用プロセスの改善が行われます。Webサイトは公開して終わりではなく、常に最新の状態を保ち、ユーザーのニーズに応え続ける必要があります。また、市場の変化や技術の進歩に合わせて、Webサイトやコンテンツの更新や改善を継続的に行うことが重要です。

コーポレートサイト制作の費用が決まるタイミング

コーポレートサイトの制作にかかる費用は、選んだCMSや実装する機能、Webサイトのボリュームなどによって大きく変わるため、全フェーズにかかる費用を一度に算出することはできません。コーポレートサイト制作における費用算出は、基本設計フェーズでの要件定義が重要なポイントとなります。
 
基本設計フェーズでは、関係する社内外のステークホルダーに対するヒアリングや既存のWebサイト分析、競合他社のWebサイト分析を通じて現状や改善すべき課題を把握します。これらの情報から、新しく構築するWebサイトの目的設定、Webサイトを通じて獲得したいターゲットの明確化や改修作業を通じて解決すべき既存サイトの問題点の特定が行われます。これらの情報を基に、ビジネスゴールに沿った方針を定め、ビジネス成果に貢献するシステムやコンテンツの要件を特定します。この作業で整理される情報を取りまとめるとWebサイトの全体像が決まり、必要な機能やデザイン要件が明確になるのです。
 
基本設計フェーズが完了すればWebサイト開発の前提条件が詳細に網羅された要件定義書がまとまり、コーポレートサイトの制作費用を精緻に見積もることが可能になります。

コーポレートサイト制作にかかる費用の考え方(基本設計フェーズ)

コーポレートサイト制作の基本設計フェーズは、プロジェクト全体の方向性を決定し、それに基づいた費用の見積もりを行う重要なステップです。基本設計フェーズは社内で行うか、専門家に依頼するかによって、費用の考え方が変わります。
 

自社で行う場合

自社で基本設計フェーズを行う場合、直接的な費用は発生しません。作業を通して社内に知見が蓄積されるといったメリットもあります。ただし、要件定義が不十分な状態で制作会社に依頼してしまうと、後の構築フェーズで追加費用が発生するリスクがあるため注意が必要です。
 

専門家に依頼する場合

専門家に依頼する場合、一般的に基本設計フェーズは3〜4ヶ月かけて行われ、成果物はドキュメントになります。このフェーズにかかる費用は作業工数ベースで算出され、Webサイトのスケール(ドメイン数、ページ数、言語数など)や要件定義の範囲、スケジュールによって変わります。自社で行う場合に比べて費用はかかりますが、このフェーズでの作業を正確に行うことにより、導入フェーズ以降の費用の振れ幅を最小限に抑えることが可能です。

コーポレートサイト制作にかかる費用の考え方(構築フェーズ)

コーポレートサイトにかかる費用は大きく分けると、最初にWebサイトを制作するときにかかる費用と、公開してから行うメンテナンスなどにかかるランニング費用の2つがあります。コーポレートサイトの費用算出はプロジェクトの成功を左右するため、慎重に進める必要があります。
 

初期費用

初期費用とは最初にコーポレートサイトを制作するときにかかる費用のことです。これには、デザインと開発の費用、パッケージ費用、システムの初期設定やカスタマイズ、データ移行などの費用が含まれます。
 
パッケージ費用とは、CMSなどのWebサイトに関わるソフトウエアにかかる費用のことを指します。特にCMSを導入する際には、有料のプロプライエタリCMSと無料のオープンソースCMSで費用が異なる点にも注意が必要です。プロプライエタリCMSは、ライセンスの提供形態に応じて費用が変わり、一般にライセンスの買い切り型とサブスクリプション型があります。また、自社で運用・保守管理を行う場合と、CMS提供元が運用・保守管理を担う場合とがあります。したがって、どのCMSを選択するかが、初期投資に大きく影響を与えます。
 

ランニング費用

ランニング費用は、Webサイトが公開された後に継続的にかかる費用のことです。これには、サイトの保守、アップデート、セキュリティ管理、そしてマーケティング活動に関連する費用が含まれます。また、導入したCMSがサブスクリプション型だと定期的な支払いが生じるため、ランニング費用が高くなります。このようにライセンスの提供形態によって費用の内訳が異なるため、事前にしっかりと計画を立てることが重要です。

まとめ

コーポレートサイト制作における費用算出は、基本設計フェーズでしっかりと要件定義をまとめることが重要です。しかし、このフェーズでは多くの作業が必要なため、自社で行うには大変な手間がかかります。多くの企業ではコーポレートサイトの構築におけるシステムの更新は、3~4年に1回で、以前の担当者が不在になっているケースが多々あります。しかし、コンサルタントは年に数回もこの作業を行っているため、必要な期間や手順を把握しています。
 
コーポレートサイト制作にかかる費用を適切に算出するために、専門家であるコンサルタントのアドバイスを受けることは非常に有効といえるでしょう。専門家のアドバイスを受けることで、プロジェクトに失敗するリスクを軽減し、かかる費用を適切にコントロールすることが可能です。
 

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解説者


田口 裕
マネージングディレクター / Managing Director
 
日系産業機器メーカーの駐在員としてアメリカで勤務後、ベンチャー企業にて、海外事業パートナー開拓、市場調査、現地法人の設立や新規事業企画・開発に従事。海外在住経験や海外の事業パートナーとのビジネスを通じて培ったグローバルビジネスや異文化コミュニケーションへの深い理解を活かし、グローバルエンタープライズのデジタルガバナンス戦略策定・実装、大規模Webサイト開発、コンテンツ運用基盤(CMS)導入、顧客データマネジメント戦略、国内外のプライバシー保護規制対策プロジェクトの支援を得意とする。

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