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コーポレートサイトは企業の顔ともいうべきWebサイトで、その役割は非常に重要です。近年、これらのサイトは多様な役割を果たすようになり、その重要性はさらに高まっています。このように重要性が増しているコーポレートサイトを制作する際には、注意すべき多くの点があります。本記事では、そのような注意点について解説します。
 
(スピーカー:アンダーワークス マネージング・ディレクター 田口裕 氏)
 

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コーポレートサイトの役割と近年のトレンド

コーポレートサイトは企業の公式Webサイトとして、企業理念や製品のリリース情報などを発信することが一般的です。しかし、社会情勢などの変化、インターネットの重要性の向上など企業を取り巻く環境が変わったことから、コーポレートサイトに求められる役割も変化してきています。
 

コーポレートサイトに求められる役割の変化

近年、コーポレートサイトは単なる企業情報を発信するだけのメディアではなく、多角的な役割を果たす重要なメディアへ変化しています。それにより、社会的責任(CSR)の明示や持続可能な成長戦略の展開、投資家への財務状況と将来性の訴求、さらには従業員のロイヤルティ強化、優秀な人材を獲得するための企業文化の形成など、様々なステークホルダー(利害関係者)との緻密なコミュニケーションがコーポレートサイトに求められています。
 

高いリテラシーが求められる情勢

様々な要求に応えるには、マーケティング戦略と同じように、コーポレートサイト制作でも外部環境や競合他社の動向、市場の変化などを把握する必要があるでしょう。そして把握した情報を分析し、戦略的に進める必要があります。また、訪問者に高品質な体験を提供するために、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)デザインの最適化が欠かせません。
 
こういった取り組みのために、効果測定指標の設計と、そのためのデータ分析が必要となります。そしてこういった複雑で高度な要求に対処するには、最新のデジタルマーケティングツールや解析ツールの選定と導入が欠かせません。そして、収集したデータを活かすために、担当者にはデジタルマーケティングやテクノロジーの高いリテラシーが求められるでしょう。

コーポレートサイト制作におけるよくある失敗例

コーポレートサイトは企業の顔であり、重要な情報発信のメディアです。また、重要なステークホルダーとコミュニケーションを取る機会にもなるため、企業であればコーポレートサイトはぜひ所有しておきたいところです。しかし、コーポレートサイトの制作に失敗してしまうことは少なくありません。コーポレートサイト制作のよくある失敗には、どういったものがあるのでしょうか。
 

明確な目的や目標がない

目的や目標が明確でないと適切なコーポレートサイト制作ができず、失敗に終わることがあります。コーポレートサイトの制作は、数ヶ月から1年近くといった長期間にわたるプロジェクトです。明確な目的や目標を設定しなければ、何を目指して制作をすれば良いのかが分からず、思うようにプロジェクトが進まなくなってしまうのです。また、目的や目標の設定ができていないと様々な部署から上がってくる要望の取捨選択ができず、どれを取り上げるべきかどうかが判断できないでしょう。
 

運用担当者が使いづらいWebサイト

コーポレートサイトは様々なステークホルダー(利害関係者)へ向けて、企業から情報を提供することが目的の一つです。そのため、訪問者である顧客ユーザーの体験は、何よりも重視しなくてはなりません。その一方で、情報を発信する企業側にとって、導入したCMSが使いにくくて、更新に手間がかかってしまうのは大きな問題です。更新に手間がかかったり、思ったような情報発信ができなかったりすると、更新頻度が低下するおそれがあります。
 
顧客ユーザーの体験は重要ですが、情報を発信する自社ユーザーにとってもコーポレートサイトの体験は同様に重要なのです。
 

検索順位が大幅に低下してしまった

コーポレートサイトを公開した直後に検索順位が一時的に低下することはよくある現象で、必ずしも大きな問題ではありません。ただし、順位が低下したまま改善しない場合は、検索エンジン最適化(SEO)が適切に行われていないか、サイト設計に問題がある可能性が考えられます。Googleをはじめとする検索エンジンは、さまざまな指標を用いてWebサイトの順位を決定しています。したがって、コーポレートサイトに何らかの問題があると判断される場合、迅速に対応することが重要です。

コーポレートサイト制作において気をつけたいポイント

コーポレートサイトは企業から情報発信を行い、ブランドイメージを構築する重要なメディアです。そのため、慎重な計画と実行が必要となります。コーポレートサイト制作において特に注意すべきポイントを、3つのフェーズに分けて解説します。これらのポイントを踏まえ、コーポレートサイト制作の計画段階から運用段階まで一貫した戦略と目標を持ち、柔軟かつ効果的なアプローチを心がけることが成功の鍵です。
 

基本設計フェーズ

コーポレートサイトの目的、目標、ターゲットを明確に設定することが重要です。サイトがどのようなメッセージを伝え、どのようなアクションをユーザーに促すかを決定し、それに基づいてサイトの構造やコンテンツを計画します。また、多くの関係者がプロジェクトに関わるため、社内調整に必要な時間も計画に含めましょう。スケジュールや必要な機能、コンテンツの優先度を設定することで、効率的かつ効果的なWebサイト制作が可能になります。この段階での明確な目標設定は、後のフェーズでの作業をスムーズに進めるための基盤となります。
 

構築フェーズ

構築フェーズにおける設計では、顧客ユーザーと自社ユーザーの異なる体験に焦点を当てることが重要です。顧客ユーザーには魅力的なデザインと直感的なナビゲーションを提供し、自社ユーザーには管理しやすいコンテンツ管理システム(CMS)を提供することが求められます。CMSの選定では、これらの異なるユーザーのニーズに応えるための機能選定が必要です。また、レスポンシブデザインの採用やSEO対策もこのフェーズで考慮するべき重要な要素です。また、制作会社には、企業のビジョンや経営戦略を十分に伝え、共有することが重要です。
 

定常運用フェーズ

コーポレートサイトの公開は単なる通過点にすぎないことを認識し、Webサイトの目的である効果的な広報活動に注力することが重要です。Webサイトの公開後はサイトのパフォーマンスを定期的に分析し、検索エンジン最適化(SEO)やユーザビリティの改善を行う必要があります。これには訪問者の行動分析、コンテンツの更新、リンク構造の最適化などが含まれます。Webサイトのセキュリティ維持や、技術的な問題への迅速な対応も必要です。
 
目的・目標を明確にして公開後の戦略を組み込むことで、コーポレートサイトは持続可能な成長戦略の一環として企業価値を高められます。

事前に失敗を防ぐために

コーポレートサイトの全面的なリニューアルは、多くの企業にとって数年に一度の大きなプロジェクトです。ところが日本の企業では、頻繁に行われる異動でかつての担当者が不在になり、リニューアルの経験や知見が失われてしまう傾向にあります。その結果、担当者は企画、設計、制作に関する知識や経験が不足しがちです。
 
このような背景を踏まえ、コーポレートサイトのリニューアルを成功に導くには、プロジェクト計画の初期段階からコンサルタントのような専門家に相談することが非常に重要です。専門家の助言を得ることでリニューアルの方向性を明確にし、適切な計画を立てられます。
 
また、リニューアルには多額の予算が必要となるため、前年度の予算化に向けてRFI(情報提供依頼書)を作成し、複数のベンダーに相談することをおすすめします。そうすることで概算費用の情報を収集し、翌年度の予算化に向けた社内調整を早めに行えるのです。計画的なアプローチを取ることで、プロジェクトはスムーズに進行し、予算内での完了が期待できます。リニューアルプロジェクトの成功は、事前の準備と計画に大きく依存するため、早めの行動と専門家との連携が鍵となります。

まとめ

コーポレートサイトは企業の顔として、非常に重要な役割を果たします。そのためコーポレートサイト制作において重要なのは、サイトの目的とターゲットを明確にし、ユーザーにとって魅力的かつ使いやすいサイトを構築することです。また、Webサイトの構築だけでなく、定常運用フェーズにおける継続的な改善と更新も重要です。
 
事前の計画がサイト制作の成功に不可欠であることを理解し、どのように進めるべきか悩んでいる場合は、専門家であるコンサルタントに相談することをおすすめします。専門家の知見を活用することで、効果的なサイト設計と運用戦略を立てられるでしょう。また、プロジェクトの進行では、予算の計画やスケジュール管理にも注意を払い、スムーズな進行を目指しましょう。
 
コーポレートサイト制作は、単なるWebサイトの構築以上の意味を持ちます。それは、企業のブランドイメージを形成し、顧客との関係を築くための重要な手段です。このプロセスを通じて、企業はデジタル時代における競争力を高め、持続可能な成長を目指せるのです。
 

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解説者


田口 裕
マネージングディレクター / Managing Director
 
日系産業機器メーカーの駐在員としてアメリカで勤務後、ベンチャー企業にて、海外事業パートナー開拓、市場調査、現地法人の設立や新規事業企画・開発に従事。海外在住経験や海外の事業パートナーとのビジネスを通じて培ったグローバルビジネスや異文化コミュニケーションへの深い理解を活かし、グローバルエンタープライズのデジタルガバナンス戦略策定・実装、大規模Webサイト開発、コンテンツ運用基盤(CMS)導入、顧客データマネジメント戦略、国内外のプライバシー保護規制対策プロジェクトの支援を得意とする。

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