1 Eloquaのデータ構造

Eloquaには顧客のEメールアドレスを含めて様々なデータが格納される。
 
1番よく使われるのは「コンタクト(Contact)」と呼ばれるデータで、ここにはEメールアドレスを始めとする基本的な顧客データが格納される。 管理画面の「オーディエンス」というメニューから格納された実際のデータを見ることができる。
 

eloquaのcontact画面
EloquaのContact画面

図の個人情報の部分はぼかしてあるが、エクセルの顧客データ一覧をイメージすると分かりやすい。名前やEメールアドレスを指定して検索し、特定の顧客データだけを表示することもできる。(*を入力することで全件表示をさせることもできる)
 
任意のデータをダブルクリックするとそのリード(潜在顧客)がどのようなEメールに反応しているのか、Webページを訪問しているのかなども確認することができる。
 
また、コンタクト(Contact)以外にもEloquaには以下のようなデータベースが存在する。
 
・アカウント(Account):企業情報を格納するデータ。SalesforceなどのCRMの「取引先」に近い概念。任意のデータ項目をキーにして、1つのアカウントに複数のコンタクトを紐付けることができる。
・訪問者プロファイル(Visitor Profile):各コンタクトがどのWebページをいつ訪問しているかなどの情報が格納される。Webアクセスログに近いデータ。
・カスタムデータオブジェクト(CDO):自由に使えるデータ。問い合わせデータやアンケートデータなどを自由に作成し、Eメールアドレスなどをキーにコンタクトと紐付けて管理することができる。Eloquaの高い拡張性を示す機能。
・イベント(Event):セミナーや展示会などのデータやその出席者の情報を管理するデータ。
・スコアリング(Lead Scoring):属性と行動の2軸から、各リードのスコアを管理するデータ。
 
このように、Eloquaには、リードデータの基本的なデータを格納するコンタクト(Contact)を中心に、様々なデータベースが存在する。それらを組み合わせながらリードナーチャリングやスコアリングが可能になっていることが大きな特徴だ。

2 Eloquaの「アセット」

Eloquaでは、様々な種類のアセットを作成し、組み合わせて運用する。「アセット」にはどのような種類があるのかを理解しておきたい。
 
・Eメール:その名の通り、リードに対して配信するEメールのこと。GUI形式でドラッグ&ドロップで作成する、HTMLコーディングで作成する、作成済みのEメールをアップロードする、の3つの方法から作成する。
・ランディングページ:Eloquaで作成、管理するHTMLページ。主にWebフォームのページ作成に利用する。こちらもGUI形式、HTMLコーディング、アップロードの3つの方法で作成できる。
・フォーム:Eloquaで受け取るWebフォーム。Eメールアドレス、姓、名、会社名などの項目を設定し、受け取ったデータをどのように処理し、Eloquaに格納するかを設定する。
 

eloquaのEメール作成画面
HTML形式のEメール作成画面
EloquaのGUI形式のEメール作成画面
GUI形式のEメール作成画面

  Eloquaの特徴は、ランディングページ(HTMLのレイアウト・デザイン)とフォーム(Webフォームの項目・処理方法)がそれぞれ独立して存在しており、それらを組み合わせてメルマガ受付ページやセミナー申し込みページなどを作成する点にある。
 
これにより、同じデータ項目を取得するフォームが複数ある場合は、1つのフォームアセットを複数のランディングページから利用し、タイトルや内容の異なるHTMLを複数作成することが可能になる。

3 Eloquaのセキュリティ

EloquaにはEメールアドレスや名前、会社名などリードの個人情報が格納される。また、日常的にリードに対してEメールを配信する仕組みであり、セキュリティに関して気になる人は多いだろう。
 

データセンターについて

Eloquaのデータが格納されるデータセンターだが、現時点(2016年夏)では日本国内には存在しない(構想はあるとのこと)。
 
現在、国内でEloquaを契約した場合は、オーストラリアにあるデータセンターのインスタンスを利用することになる。
 
海外現地法人などで契約をしていたインスタンスを国内で利用している場合には、米国のデータセンターのケースが多いようだ。 これは、自社のEloquaのインスタンスにログインして、URLを確認するとわかる。URLがp03から始まっていれば米国、p07から始まっていればオーストラリアだ。
 

データの暗号化について

Eloquaに格納されるデータの暗号化については、オプション機能としての提供されている。データの暗号化を行いたい場合には、見積もり時にオプション費用も依頼しておく必要がある。
 

電子署名について

Eメール配信時の電子署名に関しては、DKIMに対応している。DKIMは、Domainkeys Identified Mailの略で、Eメールの送信ドメイン認証を行うものだ。S/MIMEには対応していない。
 

SSLについて

ランディングページのSSLに関しては、初期導入時にサーバー証明書の設定を行うことで可能だ。
 

管理画面へのアクセス制限

管理画面へのアクセスをIPアドレスで指定することができる。特定のネットワーク(IPアドレス)からのアクセスのみを管理画面に許容する様にIPホワイトリストを設定できる。
 

権限管理

Eloquaの権限管理機能は、利用者毎・ユーザーグループ毎にかなり細かく設定することが可能だ。例えば、Eメール作成を行う外部ベンダーは、Eメール作成の画面だけにアクセス可能で、リードデータ(個人情報)は閲覧できない、などの設定が自在にできる。
 

Eloquaのユーザーの権限設定画面
ユーザーの権限設定画面

4 EloquaのCookieデータ利用

EloquaにはCookie連携機能が標準装備されている。
 
これは、WebブラウザのCookieを利用して、「誰が」「どのページを」「いつ」「何回見たのか」というデータを管理し、スコアリングに利用する機能だ。 これを実現するには、リードデータ(Eメールアドレス)とリードのCookie情報の”紐付け”が必要だが、EメールアドレスとCookieとの紐付けには、2つの方法があることを理解してきたい。
 
1.Webフォームからの送信:訪問者がEloquaのWebフォームからEメールを含むデータを送信した際にCookieデータが紐付けられる。
2.配信したEメール内のURLをクリック:配信したEメール内のリンク(URL)がクリックされた場合Cookieが紐付けられる。
 
したがって、単にリードデータをEloquaにインポートしただけでは、誰がどのページを見ているのかはわからない。
 
初期導入時にCookieが紐付いているリードは0から始まり、Webフォーム送信やURLクリックを通じて徐々にEメールアドレスとCookieの紐付けを進めていく必要があることを理解しておきたい。
 
中編に続く

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