こんにちは、アンダーワークスのミンディです。2023年4月にシンガポールで開催された The MarTech Summit Singapore 参加レポートの後編として、今回のサミットで取り上げられたテーマについてご紹介します。前編やアンダーワークスの登壇レポートもリリースしているので、読んでいない方はぜひそちらも合わせてご覧ください。
 
今回のMarTech Summitでは、基調講演やパネルディスカッションなど、60名以上のスピーカーによる35以上のライブセッションが行われました。参加者の多くは大手マーケティング会社の管理職であり、ブレイクアウトルームやラウンドテーブルを通してコミューケーションを取る機会がたくさんあったことが、非常に高く評価されていました。
 

「MarTech Stack」で成功を加速させよう

初日は今年のタグラインに基づいて、テクノロジーがより進化する一方、限られた予算の中でマーケターとしてどのようにMarTech Stackを改善できるかに焦点が当てられていました。マーケティングキャンペーンを成功させるためには、適切な人材を確保し、適切にリソースを投資することが当然のことながら重要です。そのためにまず最初にするべきこととしては、既存のシステムとデータフローを理解し、整理することが挙げられていました。セッションの中で印象的だったのは、重複している機能を持つツールを排除するためにアセスメントを実施し、データアーカイブ戦略を実行したが、ネクストステップに繋がるデーターマネジメントが難しいと話していた登壇者が多数いたことです。
 

CDPによるデータサイロの解消

デジタル・トランスフォーメーションに着手したばかりの企業は、自社のデータがいかにサイロ化しているかということに気づくことが多いそうです。実際にSummitでの調査結果でも、回答者の多くがデータのサイロ化が課題と回答していました。具体的には、複数のデータが分断されていたり、他部門からアクセスできないデータが存在したりします。またデータのサイロ化は、ミスや遅延の原因となるだけでなく、企業がデータを活用し適切な意思決定をする妨げとなります。そのため、これらの異なるデータソースを統合し、シームレスで効率的なデータ経路を構築する必要があります。
 

その手段の一つとしてCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の導入が挙げられていました。CDPは、顧客データを収集・集約・蓄積する役割を担っています。ばらばらに管理されている顧客データを統合し、顧客IDに紐づけて一元管理することによって、社内でのデータ共有や活用を容易にすることができます。さらに蓄積したカスタマーデータをMAツールやBIツールなどと連携することで、顧客ひとりひとりを深く分析することができ、顧客に合わせたOne to Oneマーケティングを実現することができます。
 
CDPの重要性については理解しつつも、多くの参加者が疑問に思ったのはCDPを「いつ」導入するべきかというポイントです。今まで積み重ねて収集してきたきたデータを整理するには多大なる時間やリソースが必要になるため、導入のタイミングについての判断が難しいといった意見もありました。そこで適切なタイミングとして下記の3つが例として挙げられていました。
 
1.システムコストを削減し柔軟な環境を作りたいとき
2.カスタマーエンゲージメントを高めたいときや、セールスの効率化とコミュニケーションの質を向上したいとき
3.データ統合によるマーケティングキャンペーンの適切な計測・評価ができる環境を作りたいとき
 
今後更にデジタル化が進む社会の中で、データを会社の資産(アセット)として扱うためにCDPの導入を検討する会社も増えていくと考えられます。
 

カスタマージャーニーとパーソナライゼーション

2日目は、データマネジメントとカスタマーデータをテーマとしたセッションに分かれていました。アンダーワークスのシンガポール拠点であるClickr MediaのCollinが司会を務め、カスタマージャーニーの構築に関するディスカッションを行いました。その中で参加者が一番注目していたのはパーソナライゼーションでした。企業が競争で勝つためには、やはりより良いパーソナライゼーションの方法を見つけることが必要なのだと改めて気付かされました。
 

オムニチャネル・パーソナライゼーションには、お客様を包括的に理解し、明確な戦略を立て、適切なツールやテクノロジーをシームレスに統合することが必要です。CDPで収集した顧客に紐づいた詳細なデータを分析することで、顧客理解が深まり、より既存の顧客に寄り添ったマーケティング対応ができるようになります。
 
自社の製品やサービスの良さを語り売上を上げる時代ではなくなった昨今では、顧客との関係を維持するために、マーケターはブランドイメージや価値観に基づく消費者ニーズを理解した上で戦略を立てる必要があります。サステイナブルマーケティングなど、消費者の心を動かす魅力的なストーリーを作ることでブランドへの信頼を築くことが重要です。

最後に

以上が、MarTech Summitに関するレポートになります。2日間にわたりAP地域で活躍している様々な企業の代表たちと交流することができてとても有意義な時間を過ごせました。今回のサミットで議論されたテーマを意識しながら、デジタルマーケティングのプロフェッショナルとして頑張っていきたいと思います。
 

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