• HOME
  • メディアDMJ
  • 最適なマーケティングオーケストレーションを実現するためには?|Mar…

 
先日、シンガポールで開催されたMarTech Summitで、コンサルタントのRichardが基調講演を行いました。講演テーマは、”Navigating the MarTech Landscape”で、最適なマーケティングオーケストレーションを実現するための前提条件、課題、解決策についてスピーチを行いました。本記事では登壇内容についてレポートします。

MarTech Landscape(マーテック・ランドスケープ)とは?

MarTech Landscapeとは、マーケターが利用できるマーケティングテクノロジーベンダーとツールを俯瞰的にまとめたもので、アンダーワークスでは『マーケティングテクノロジーカオスマップ』として毎年リリースしています。主に、Webサイト制作、広告、セキュリティなど、顧客との関係を改善するために使用できるツールを網羅しています。
 
近年、ベンダー数は全世界で10,000社以上に増え、多様な選択肢が生まれました。各ベンダーは、クライアントのビジネスにおける顧客とのコミュニケーション方法の変革やローカルデータの問題解決に取り組んでいます。マーケティングテクノロジーベンダーの増加は、市場にとって高い競争力と革新的なソリューションをもたらしていますが、同時に、クライアントにとっての製品選択プロセスを困難なものにしています。多くのベンダーが似たような製品を提供しているため、それらを区別し、どのソリューションが自社にとって最適かを判断するのが難しくなってきているのです。
 
日本においても、国内で利用できるベンダーやソリューションが急速に増加しており、アンダーワークスの『マーケティングテクノロジーカオスマップ』では、日本は2021年の1,317から2022年には1,566へと120%増加していることがわかりました。
 
ソリューションの数が増えるにつれて、企業が顧客にリーチし、顧客と対話するチャンスも増えてきています。企業が顧客と交流する方法はかつてないほど増え、その交流からは膨大な量のデータが生み出されています。特に、ITサービスプロバイダーであるMuleSoftが行った最近の調査では、すべての顧客とのコミュニケーションのうち、70%がデジタル化されていることが判明しており、顧客データの重要性は言い尽くすことができないほど高まってきています。顧客の行動を知るためには、顧客データを正しく管理、分析し、理解する必要があります。
 

マーケティングデータマネジメントへの対応

顧客が欲しい情報をほぼ無限のテクノロジーで検索できるようになった今、私たちはさまざまなタッチポイントから顧客に関する膨大な情報を簡単にで入手できるようになりました。データを収集、整理、分析し、ビジネスに応用するプロセスであるマーケティングデータマネジメントの導入は、膨大なデータを理解するために不可欠です。
 
アンダーワークスが実施した『マーケティングデータ活用実態調査』によると、約90%の企業がマーケティングデータマネジメントはマーケティングの成果を向上させるために不可欠だと考えています。
 
また、当社の調査では、70%弱の企業が”積極的に取り組んでいる”か、もしくは”近々着手する予定である”と回答しており、マーケティングデータマネジメントの重要性が増していることが表れています。この結果は、より多くの企業がマーケティングの成功を促進する上でデータが果たす重要な役割を認識していることを示しています。

マーケティングデータマネジメントの計画における問題点

マーケティングデータマネジメント戦略を始めるにあたって、最も大きな問題となるのが、組織横断的な連携です。こうした取り組みの重要性が社内に浸透していない場合、必要な予算の確保や効果的な実施体制の構築が難しくなります。その結果、各部門が自分の仕事に集中し、他の組織と適切なコミュニケーションをとらないサイロ・メンタリティーに陥ってしまうことがあります。この問題は、企業や各部門が組織的に成長し、変化していく中で、しばしば発生する可能性があります。
 
このようなサイロメンタリティを克服し、マーケティングデータマネジメントを成功させるためには、企業はコラボレーションとコミュニケーションの文化を醸成する必要があります。そのためには、部門間の壁を取り払い、部門横断的なチームを奨励し、全員が同じ目標に向かって協力することが重要です。
 

マーケティングテクノロジースタックの構築

このようなデータを管理し、デジタルマーケティングのニーズをカバーするためには、主に2つの方法を検討する必要があります。
 
まず、すべてのマーケティングニーズにワンストップで対応するオールインワン・ソリューション(Best of Suite)があります。オールインワン・ソリューションは、ベンダーによりソリューションが統合されているため、プロセスを簡素化でき、時間とリソースを節約できることがメリットです。便利な反面、個々のテクノロジーが提供するような深みや専門性を提供できなかったり、他のパーツとバンドルされているため、実際には使われない機能が含まれてたりすることもあります。
 
一方、ベスト・オブ・ブリードのスタックを構築すれば、ニーズに最も適した特定のテクノロジーを選択できるため、よりカスタマイズ性と柔軟性が高まりますが、初期に必要なリソースは若干増えます。
 
データ統合は、ベスト・オブ・ブリードのマーケティング・スタックのメリットを享受するために必要不可欠です。マーケティングデータの統合は、複数のソースからのデータを統合し、ダッシュボード化することで、顧客やターゲットオーディエンスを理解することができ、より多くのデータに基づいてマーケティング戦略の意思決定を行うことができるようになります。
 
しかし、当社の調査によると、データを統合している企業は約23%に過ぎません。データ統合が行われないと、企業は効率改善の問題と機会損失を抱えることになります。顧客データの統一的なビューがないため、重複やエラーが発生し、修正にコストと時間がかかる可能性があります。
 

マーケティングテクノロジースタックを最大限に活用する方法

マーケティング・データマネジメントプランが完成し、サイロ・メンタリティの克服、ベスト・オブ・ブリード・スタックの選択、データ統合が行われたとしても、マーケティングテクノロジースタックを最大限に活用するには、コンサル視点でいくつかの重要な要素があります。
 

ベンダーの適切な評価

ベンダーを適切に評価することで、目的に沿った適切なテクノロジーを選定することができます。例えば、運送会社でアカウントベースのマーケティング戦略を実施するためには、適切なツールが必要となります。優れた機能を備えたツールを導入しても、必要なターゲットが設定されていなければ、無意味なツールになってしまいます。
 

人への投資(テクノロジー理解の重要性)

マーケティング担当者のテクノロジーに対する理解も重要です。例えば、我々がご支援するプロジェクトの中で、クライアントのゴールが決まっていても、そこに到達するための方法がわからない、理解できないプロジェクトがあったりします。そのような場合は、デジタルマーケティングのトレンドやCRM、CMS、CMPとは何かを説明するミニワークショップなどを実施し、テクノロジーに対する理解やを導入する理由などを解説・共有しています。
 

 
戦略に基づいたプロセス整理と実行

たとえ、解決すべき課題を理解し、その課題解決として独自のマーケティングテクノロジースタックを構築したとしても、それだけでは課題は解決されません。データに基づいた意思決定をしなければ、それもまた意味がありません。プロジェクト開始時には、まずは、全体的な戦略を策定し次実行プロセスやアクションプランを整理し、戦略に沿ってデータを取得し、適切に活用ことが重要なのです。
 



今回は、MarTech Summitでアンダーワークスが行った基調講演の内容をレポートしました。次回は、MarTech Summitの参加レポートとして、印象に残ったテーマやセッションについてご紹介します。
  

登壇者

アンダーワークス株式会社
Associate Manager
Richard John Goodger

 

イギリスの大学に在学中は一年間、青山学院大学に留学、その後日本に移住し、現在6年目。
デジタルマーケティングの会社に入社し、大手自動車メーカーの新興国webサイトの評価・SNS運営・デジタルマーケティングガイドライン作成・ワークショップ企画及び開催(パナマとドバイにて2回づつ実施)・ワークショップファシリテーション・コピーライティングを担当。2020年よりアンダーワークスに参画。

関連記事

デジタルマーケティングジャーナル 一覧