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  • CDPの導入手順・注意点・事前準備について解説【スクラッチ開発編】


自社に最適なCDPを導入したい場合、スクラッチ開発によるCDP構築も選択肢の1つとなるでしょう。今回は、スクラッチ開発によるCDP導入のフローや注意点、CDP構築に向けて必要な事前準備についてまとめました。用途に合ったCDPの構築を実現したい事業者様は、ぜひ参考にしてください。
 

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CDP導入の基本フロー

スクラッチ開発と言ってもシステム全体を完全に一から開発するケースばかりではなく、クラウドサービスなどをベースに開発を進めるケースも少なくないのが実情です。ここでは、CDPをスクラッチ開発する際の基本的な流れを紹介します。
 

1. 構想・要件定義

はじめに明確にしておきたいのが「なぜ自社にとってCDPが必要なのか」という点です。現状のビジネスにおいて抱えている課題を洗い出し、CDPの活用目的と具体的な目標を定めておく必要があります。CDPの導入ありきで考えるのではなく、解決すべき課題を軸に要件定義を進めましょう。
 

2. 設計・実装

設計・実装のフェーズでは、「データ要件定義」「データ取得設計」「データ加工設計」「アウトプット連携」を決定します。
 

・データ要件定義

社内に蓄積されているどのデータをどのように活用するのか、データの要件を定義します。あらかじめ保有データの保存場所や形式を確認し、整理しておく必要があるでしょう。
 

・データ取得設計

各データをどのような手法でCDPに統合するかを定義します。データの内容や性質に合わせて、タグ/SDK経由での取得や中間サーバーを介した取得など、適した取得方法を決めましょう。
 

・データ加工設計

データの活用方法や運用体制に合わせて、データ構成を整理します。データクレンジングを行い、データを活用可能な状態にするフェーズです。
 

・アウトプット連携

実行する施策に合わせてツールへのデータ連携を行いましょう。データを活用するには、データウェアハウス(DWH)・データマートを構築する必要があります。
 
【データ加工・成形のプロセス】
・データレイク:取得したデータが未加工の状態で蓄積される
・データウェアハウス(DWH):取得したデータを利用しやすいように構造化する
・データマート:顧客ごとのユニークIDなどに各データを紐付ける
 
SQLを駆使することなくデータの分析が可能な状態にすることが、データマートを構築する主な目的と捉えてください。Google CloudのBigQueryなどを活用することにより、データマートの構築を高速化するのが現実的でしょう。
 

3. 施策運用

CDPで統合したデータをMAやBIなどの各種ツールで活用できるよう、CDPと外部ツールを連携します。各ツールに対応したコネクタを開発する必要があるため、CDPの要件にあらかじめ反映させておく必要があるでしょう。外部ツール上でデータを取り扱えるようになったことが確認できれば、CDPの構築は完了です。

CDP導入にあたっての注意点

CDPを導入するにあたって、いくつか注意しておくべき点があります。開発・構築・導入をスムーズに進めるためにも、次の3点に留意しましょう。
 

導入の目的を絞り込んでおく

CDPは多目的に活用できるツールのため、目的が曖昧なまま導入すると十分な効果を得られない恐れがあります。CDPを導入したものの、単にデータ保管庫として情報を溜め込んでいくだけのツールにならないよう、導入の目的を明確にすることが重要です。ツールありきで導入を進めるのではなく、実現したい施策やデータの活用が必要とされるシーンを具体的に想定しておきましょう。
 

ステークホルダーの理解を得る

顧客に関する情報は、社内のさまざまな部門に散在しているケースが少なくありません。関係者の理解を得て、必要なデータを漏れなく収集する必要があります。CDPを導入する目的や活用メリットをステークホルダーに説明し、協力を仰ぐことが大切です。
 

CDPパッケージの導入も選択肢に入れて検討する

スクラッチ開発には多くのコストと開発期間を要します。TCO(Total Cost Ownership:総所有コスト)を検討し、スクラッチ開発が妥当な選択かどうか慎重に見極めることが大切です。CDPの導入目的に即して必要な機能・データを見極めた上で、スクラッチ開発にすべきかパッケージ製品を導入すべきかを検討してください。パッケージ製品の中にも、多様な用途に対応可能なCDPは多数あります。場合によっては、CDPパッケージの導入も選択肢に加えて検討する必要があるでしょう。

CDP構築に向けた事前準備

CDPのスクラッチ開発に際して、事前に取り組んでおくべき準備事項をまとめました。CDPの開発・構築・導入をスムーズに進めるために、次の6点を必ず実践しておきましょう。
 

明確なビジネスゴールを想定しておく

CDPはあくまでもデータを収集・統合するための手段に過ぎません。統合されたデータがなぜ必要なのか、具体的にどのような施策に活用していくのか、明確なビジネスゴールを想定しておくことが大切です。ゴールを明確化することにより、収集すべき情報の種類や範囲を絞り込みやすくなるでしょう。
 

必要な機能を整理する

CDPの概念は幅広く、さまざまな機能を活用できます。自社にとって必要な機能は何かを整理し、優先順位をつけておかなくてはなりません。
 
【CDPの主な機能】
・データ蓄積
・顧客データ統合
・セグメント作成
・外部ツール連携
・データの分析/可視化
・アクション機能(レコメンド・ポップアップなど)
・セキュリティ対策
・2nd、3rd Partyデータ連携
 
実現したい施策から逆算し、上記のうちどの機能が必須となるか明確にしておく必要があります。
 

現状のデータを把握・整理する

CDPを構築する際の重要なプロセスとして、既存データの種類・形式・保存場所の把握が挙げられます。データ量が多ければ多いほど、すべてのデータを把握・整理するために時間を要するでしょう。異なる部門間でデータの形式が異なっている場合、形式の統一化が求められることも想定されます。関係部門に協力を仰ぎ、現状のデータをできるだけ正確に把握しておく必要があるでしょう。
 

導入・運用体制を検討する

CDPの導入・運用を特定の担当者や部署に委ねるのは避けましょう。部門によってデータを必要とするシーンや目的は異なるケースが少なくないため、各部門の意向を取り入れていくのが理想です。また、CDPは中長期的に運用を継続することが前提のツールであることから、特定の担当者に負担が集中しないよう配慮する必要があります。導入・運用体制を慎重に検討し、持続可能な仕組みにしておくことが大切です。
 

KPIを設定する

CDPの導入効果を適切に判断するために、KPIを必ず設定しましょう。CDPの導入を通じて得られる効果には、業務効率化と成約率向上という2つの側面があります。どちらか片方の効果測定に偏ることのないよう、業務効率化と成約率向上の両側面からKPIを設定することが大切です。
 

ステークホルダーへの周知

CDPによって統合されたデータは、さまざまな部門で活用可能です。導入効果を最大限に高めるためにも、関係部門間でCDPに対する共通認識を築いておく必要があります。たとえば、サイト運営チームや営業チームに属する担当者にもCDPの導入目的やメリットの周知を図り、理解を得ておくことが大切です。
 

CDP導入・構築の目的を見失わないよう注意しよう

CDPのスクラッチ開発には相応の労力・コスト・開発期間が必要です。実際にCDPを運用できるようになるまでには長い期間を要することも想定されます。CDPを導入・構築する目的を見失うことのないよう、社内で共通認識をもって取り組むことが大切です。今回解説した導入フローや注意点を参考に、CDPのスクラッチ開発を進めてください。「なぜ自社にとってCDPが必要なのか」を常に念頭に置くことで、開発・構築・導入をスムーズに進められるはずです。
 

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