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  • インバウンドマーケティングを支えるHubSpotのCMS【前編】

 
テクノロジーの進化とユーザーニーズの変化に応じ、挑戦するCMSベンダーの姿を追う連載企画「CMSの進化を目指すベンダーの挑戦」。今回はCRM(顧客関係管理)の先駆者として、CMS領域の拡大をけん引してきたHubSpot社の岩倉氏と栁澤氏にお話を聞きました。
 
(話:チャネルコンサルタント 岩倉史門 氏、テクニカルコンサルタント 栁澤啓明 氏)
 

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創業時から大切にしてきた「インバウンド思想」

——はじめにHubSpot社についてご紹介をお願いします。

 
HubSpotは2006年にアメリカで設立しました。日本法人は2016年に設立しています。当初は消費者向けに過剰な広告アピールが行われていた時代で、消費者はうんざりし、広告に見向きもしなくなりつつありました。そこで創業者が掲げたのが「インバウンド思想」です。自分たちから先に価値提供し、消費者が感じたものを返してもらう。その信頼の積み重ねの先に購買がある、という考え方です。この思想は今でもHubSpotの基本原則として受け継がれています。
 
[参考]インバウンドマーケティングとは | HubSpot(ハブスポット)
 
 

——世界的に広く認知されている企業だと思いますが、日本市場に対してどう捉えていらっしゃいますか。

 
まだまだ伸びしろが大きい市場だと位置付けています。近年は日本法人の人員拡大、顧客サポート体制の強化、パートナープログラムのリニューアルなどにも取り組んでいます。
 
おかげさまで国内実績も順調に伸びており、読売新聞社様、パナソニックインダストリー様、NTTPCコミュニケーションズ様など、幅広い企業様に導入いただいています。
 
また、HubSpotは「Grow Better」を企業ミッションとして掲げており、企業・組織の成長を後押しする製品を開発しています。このことから、新規事業部門やスタートアップなどの変化の早い組織環境のお客様にもご利用いただいています。とくに、スタートアップ企業向けには資金調達状況に合わせた支援プログラムを用意しています。
 
 

——製品に込められている思想について教えてください。

 
インバウンド思想の実現には、顧客接点を紡いでいくこと、組織・業務プロセスをシームレスにつないでいくことが重要だと考えています。たとえば、HubSpotの製品群は同じUI(ユーザー・インターフェース)で利用できるため、複数の製品を組み合わせても違和感なく簡単に操作できます。当たり前に思うかもしれませんが、実はこれが難しい。
 
SaaS製品が増えたことで、企業が利用するツールは数十・数百にのぼるようになりました。こうしたツールを寄せ集めて利用し続けた結果、顧客接点によって生まれたデータの分散、分断が起きているのです。HubSpotはゼロからシステムを作りこむことで、同じUIでデータが統合されるシステムにしています。

目指しているのは基幹システムではなく現場を助けるシステム

——HubSpotにはさまざまな製品があると思いますが、ご紹介をお願いします。

 
HubSpotはCRMプラットフォームとして顧客管理を中心に据えて製品展開をしています。現在はCMS Hubを含め5製品(Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Operations Hub)あり、すべてにCRMが標準実装されています。
 
Marketing Hubは文字通り、マーケティング活動を支援するための機能が備わっており、潜在顧客へのアプローチやナーチャリングを手助けします。
 
Sales Hubは獲得したリードに対して、インサイドセールス担当やフィールドセールス担当がアプローチすること、商談管理業務を支援します。
 
Service Hub は受注後の顧客サポート・カスタマーサクセス業務を支援し、顧客満足度を高めることを目的とした機能を用意しています。さらに、レポート機能やプレイブックと呼ばれるマニュアル機能もあり、マネジメント業務を支援する機能も充実しています。
 
Operations Hubはデータの管理、外部アプリ・システムとの連携やプロセス自動化を支援する機能を用意しています。他の製品と組み合わせることでHubSpotの活用をさらに深めることができます。
 
そしてCMS Hubは、オンライン上の顧客接点の中心であるWebサイトならびにブログ作成を支援します。CRMとの連携により訪問者情報に合わせた最適化・パーソナライズ化することも可能です。
 
 

——CMS Hubにおける他のベンダーとの違い、差別化ポイントをどのように捉えていらっしゃいますか

 
HubSpotの強みは3つ。開発の容易さ、パーソナライズの精密さ、費用対効果の高さです。
 
開発が容易な例としてJavaScriptなどのバックエンド言語の知識がなくてもカスタマイズが可能なことが挙げられます。HTMLとCSSといったフロントエンドの言語でテンプレート開発やダッシュボード制作などができます。
 
パーソナライズの精密さは、訪問者の状態(属性や経路などクエリパラメータなど)に応じて細かいパーソナライズができる点が強みです。
 
費用対効果が高い理由は、CRMが標準実装されているからです。CMSとCRMを連携するときに必要になる複雑な設定が不要で、サーバー設置・管理費、管理・開発のための人件費などが削減できます。そして、隠れたコストがないということもHubSpotの特徴です。
 
[参考]FrankenSpot – HubSpotとHubSpot以外のCMSの価格の比較
 

(後編に続く)
 
 

話者



HubSpot Japan株式会社
チャネルコンサルタント
岩倉史門 氏



HubSpot Japan株式会社
テクニカルコンサルタント
栁澤啓明 氏

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