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テクノロジーの進化とユーザーニーズの変化に応じ、挑戦するCMSベンダーの姿を追う連載企画「CMSの進化を目指すベンダーの挑戦」。アクイア(Acquia)社の小坂氏、小林氏、武山氏に製品群の魅力やアクイア社の強みを聞いた前編に引き続き、後編となる本記事ではアクイア社のネットワークやサービスの今後の展望について聞きます。
 

話:アクイア(Acquia)ジャパン合同会社 
Deputy Country Manager 小坂慎吾
Enterprise Account Executive 小林 直登
Account Executive 武山 哲也

国内外の強いサポート体制と、育成を進める技術者の輪

――近年はCMS選定においてグローバルを視野に入れる企業が増えています。アクイアのグローバルにおけるパートナーの現状について教えてください。
 
グローバルにおいては、規模の大小含め約800社のパートナー企業が存在します。コンサルティングやSIなど、各領域を牽引するような著名なパートナーもおり、強力なサポート体制を整えているといえるでしょう。

アクイアはグローバルな案件に強みを持つ会社で、複数の言語を用いるケースや、各国で情報格差ができないようスピード感を持って対応するケースなど、さまざまなご要望にお応えしてきました。海外のパートナーと共にプロジェクトを進行するケースも多いので、これからそういった展開を検討している企業の皆様にはご利用いただきやすいと思います。


――グローバルに加え、国内パートナー企業の数も年々増えていると聞きますが、意図的にそういった動きを強めているのでしょうか。
 
そうですね。アクイアジャパンとしても現在パートナー企業の強化に注力しており、特にテクノロジー面、技術者の強化を行うことでビジネスをスケールさせていく狙いがあります。「Drupal Cloud」を構築できる技術者を増やす活動としては、技術者向けの社内ウェビナーを開催したり、パートナー企業に対するイネーブルメントを通じた技術向上などに取り組んでいます。

WordPressをはじめとした他CMSと比べて「Drupal Cloud」の知名度が低いことを課題としており、私たちは3年ほど前から開発者の育成に取り組んできました。認定試験を本稼働させた当時は16名と少数でしたが、本年は180名と増えてきています。


――ユーザーコミュニティはありますか。

OSSという括りでDrupalをご利用の方が交流している場はあるのですが、アクイアとしてのユーザーコミュニティにあたるものは現在ありません。今後そういった会を作っていきたいという思いは強くあります。

CMSとCDP双方に強みを持つ製品群を携えて

――今後キーとなる動きや製品について教えてください。

まず、「Drupal Cloud」関連のところで紹介させていただきたいのが、「Acquia Cloud Next」と呼ばれる製品の浸透です。こちらは従来の「クラシック」と区別された新しいインフラストラクチャの名称で、Drupalアプリケーションのホスティングと管理のために、最もスケーラブルで安全かつパフォーマンスの高いサービスセットを提供するものです。

「Acquia Cloud Next」では、アプリケーションやサイトのパフォーマンスが向上するとともに、無限に近いストレージ容量、セキュリティや耐障害性の強化、リソース利用の最適化などのメリットが得られます。ただし、クラシックと比較してUI/UXなどの変化はないため、厳密に言えば“新”製品というわけではありません。

ストレージ容量の拡充は、マルチテナント戦略の推進へとつながっています。ひとつの環境にアプリケーションを複数入れ、パートナー企業がそれを管理するといった形でのご利用もできるようになることが、「Acquia Cloud Next」の特徴です。コスト面も含め、これまでアクイアの主要なお客様はエンタープライズ企業でしたが、中小規模のお客様にもアクイアのソリューションをご利用いただけるよう進化していると言えるでしょう。

現在は国内外のお客様の状況に応じ、随時クラシックから「Acquia Cloud Next」への移行が進んでいる段階です。

一方「Marketing Cloud」に関してはDXP領域の拡大に伴い、より顕著な動きが進んでいく予定です。


――国内におけるMarketing Cloudの利用状況、現状などについて教えてください。

現在国内においては60社弱の実績があります。ユースケースとしては、CMS、MA、DXPとアクイアのソリューションを全体的にご利用いただくケースが一般的ですが、中にはMarketing Cloudのみ契約し、CMSは別のものを利用しているケースもあります。

私たちはCMSを軸にしつつ、お客様のご要望に応える形でマーケティング領域にもソリューションを展開している会社なので、マーケティング領域に関するパートナー企業との連携強化は今後一層取り組んでいく必要があると考えています。2年前からそういったパートナー企業とのコミュニケーションは始めていたものの、サンドボックス提供などの障壁があり、これまでは積極的な連携に至らず足踏みしてきた経緯がありました。

アピールポイントとして挙げたい点は、おそらく今後のアクイアジャパンの一番強い支点として挙げられるのがCDP領域であるということです。社内チーム内に強力なマーケティングクラウドコンサルタントを迎え入れた背景もあり、CDPを軸とした営業戦略が構築しやすい条件が整った現状があります。CMSベンダーとしての実績を重ねてきた上で、こうしたCDPの技術者を擁する体制を盤石にしていることは、アクイアの一つの強みだと考えています。


――最後に、アクイア社の創業時のエピソードなどを踏まえ、メッセージをお願いします。

アクイア創業のきっかけとなったオープンソースCMS「Drupal」は、もともと創業者であるDries Buytaertが個人的な知的好奇心から開発を始めたものです。初めてのミートアップも30名規模と少人数で行われ、本人は開発者であることを隠していたという逸話さえあります。そんな始まりから口コミが広がり、「Drupal」の利用者は徐々に増えていきました。

やがて企業で利用したいという相談が来るようになり、その要望に応えるためアクイアは誕生しました。さらにホワイトハウスのWebサイトを手掛けることになったことは、アクイアを大きく成長させる転機となりました。

このように、アクイアはいわゆるスタートアップ的な思想に基づいて躍進してきたというより、あくまで周囲のニーズに応えた結果事業成長を遂げてきた会社です。また、技術的な観点について特徴を補足すると、Drupalは開発当初から先進的なテクノロジーを追求しており、都度最新のアーキテクチャを取り入れて進化してきた背景があります。

そういった歩みを経てきたアクイアは、今後デジタルマーケティング領域へのソリューション進出も含め、現代のお客様が抱える悩みや要望に沿った価値提供を続けていきたいと考えています。不動産、保険、通信、製造など各業界最大手の企業の皆様から高い評価をいただいていることが、私たちが積み重ねてきた信頼への確かな証ではありますが、今後はそこからさらに中小企業の皆様にも柔軟にご利用いただけるようなソリューションを打ち出しつつ、新たなアクイアの挑戦を示していければと思います。

高度な技術に支えられた高いセキュリティを強みとし、CMSを主軸としつつ多様な領域へと提供価値の裾野を拡げつつあるアクイア社。特にCDPに対する強みを発揮しつつ今後描いているビジョンの先には、新規顧客開拓によるビジネスのスケールといった展望もあり、今後ますますアクイア社への期待は高まります。グローバルにも盤石なパートナー企業との関係性を持つアクイア社のソリューションは、国内企業の躍進を支える一助となるでしょう。

 

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