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CMSは専門的な知識がない人でも簡単にWebサイトの構築と運用ができる便利なツールです。しかし、これまでWebサイトの運用担当者が担ってきた工程にさまざまな人が関わることになるため、現場が混乱し、担当者や会社全体の負荷が大きくなる場面も見受けられます。CMSを円滑に運用するために必要となるポイントを紹介します。
 

あわせて読みたい! 【CMS完全ガイド】CMSのメリットや種類、選定方法や運用方法など

CMS運用に苦労する事例は少なくない

CMSについて調べると、導入によるメリットを紹介する情報が多く出回っており、導入後の運用まで説明されていない場合があります。しかし、本来CMSのテーマは、Webサイト運用の負荷軽減と安定化にあるはずです。CMSの便利な機能も大切ですが、導入後の運用も視野に入れて準備をする必要があります。
 
実際に多くの企業のCMS導入をサポートしてきた中で、次のような声をよく聞きます。
 
「導入はしたものの、現場から不評で、うまく運用できていない」
「導入後の方が全体の業務負荷が増えた気がする」
「CMSが使いづらく自社にあっていない気がする」

 
実は導入後の運用に苦戦するケースは少なくないのです。

CMS導入により社内で混乱が生じる理由

CMS導入後の運用に混乱が生じる理由は、主に2つあります。
 
1つ目は、運用に影響を及ぼす機能の要件定義と運用設計が不十分であることです。実装する機能まで落とし込んだつもりでいても、バックエンド側の要件はベンダーからの提案任せで、実際に使ってみると使いにくいと感じることがよくあります。また誰が、どのように作業するのか、編集権限や承認権限は誰に与えるのかなど、具体的な方法論が明確にされていない場合もあります。
 
2つ目は、操作手順や方法論が書面で共有されていないことです。作業者が操作方法を理解できず情報を探さなければならない状況は、ストレスの源となります。調査する時間は効率面での損失となり、このような事態が続くと、導入したCMSへの社内評価は低下してしまいます。

CMS導入時に考慮すべき5つのポイント

CMS導入時は、どのような企業であっても少なからず混乱は生じます。こうした混乱を最小限に留めて、安定して運用するために必要となる5つのポイントを紹介します。
 

運用機能の要件定義

運用機能の要件定義は、最も重要な工程です。導入後にバックエンド機能を変えると追加コストがかかる上に、Webサイトの稼働を止めることになりかねません。長く使えるCMSになるかどうかが、この要件定義で決まるといっても過言ではありません。
 
要件としてサイトの構成も検討する必要があります。ガバナンスを効かせて1つのCMSで複数サイトを統合するのか、目的や用途によって複数のCMSで構成するのかなど、最初に検討するとよいでしょう。また昨今、マーケティング機能を搭載しているCMSも増えてきています。マーケティング機能までを1つのプラットフォームで実現するのか、複数のベンダーを組み合わせてベストオブブリードで実現するかについて決定するためにも、最初の段階から運用面の要件を検討する必要があります。事前に現場でヒアリングを行って、現状把握や課題整理を行うと具体的なイメージがしやすくなります。
 

ワークフロー

ここでいうワークフローとは、コンテンツ制作の承認フローに限らず、あらゆる運用のフローを指します。作業の流れを丁寧にシミュレーションしていくと、高機能と思われたCMSも運用の視点では使い勝手が悪いと気づくこともあるでしょう。
 
ワークフローをシミュレーションしてみると、CMSでは対応できない部分も見えてきます。CMSは万能ではないため、どのワークフローを機能でカバーし、どこを運用でカバーするのかといった点も、ワークフロー設計を通して決めていきます。大切なのは、導入前の段階でワークフローが具体的になっていて、導入直後に生じるであろう混乱を特定できていることです。
 

テンプレート

基本的にCMSにはテンプレートがあります。テンプレートを変えることはできず、独自に作りたい場合は別途開発が必要になるため、追加コストやエンジニアの確保が必要になるでしょう。既存のテンプレートが自社の求める要件をカバーしているのかを確認し、カバーしきれない場合にどう対応するのか決めておく必要があります。
 
自社に100%マッチするテンプレートをそろえているベンダーは基本的にいないという前提で、ベンダーに相談することをおすすめします。ベンダーはさまざまな企業に導入してきている経験から、テンプレートが適合しなくても運用面での対応方法を提案してくれるはずです。
 

運用体制

近年は複数のWebサイトを1つのCMSで運用する事例が増えています。たとえば複数の子会社があったり、商品ごとに独立したブランドサイトを設けたりしたい場合などです。背景にあるのは運用負荷の軽減です。それぞれのサイトで別々のCMSを利用すると、セキュリティやガバナンスを保つために個別に対応する必要があり、運用負荷が大きくなるという課題がありました。運用体制を検討する際は、部署単位だけでなく会社単位、場合によっては商品・ブランド単位で検討することも重要です。
 

ガイドライン

運用設計をどれだけ詳細に行っても、それが現場で理解・実行されなければ、その効果は半減してしまいます。特に、各現場が独自のルールで運用を始めると、Webサイトそのものの価値を毀損してしまうリスクがあります。CMSの運用に限ったことではありませんが、ガイドラインの明確な文書化は混乱を避けるために不可欠です。企業では、以下のようなガイドラインが作成されています。
 
・ユーザビリティ・アクセシビリティに関するガイドライン
・SEOに関するガイドライン
・コンテンツに関するガイドライン
・デザインに関するガイドライン
・ワーディング(言葉の使い方)に関するガイドライン

まとめ

ここまで、CMS導入前の準備にスポットを当てて説明してきました。すでに導入済みの場合でも、もし対応していないところがあるようでしたら、今からでも対応を検討してみてはいかがでしょうか。さらなる安定運用につながったり、思わぬ課題を見つけられたりするかもしれません。
 
また、運用する中で状況は変わっていくものです。導入して終わりではなく、定期的に見直して改善を重ねていくことで、長く使えるCMSができ上がっていくはずです。
 

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