• HOME
  • メディアDMJ
  • デジタルマーケターが紹介!10種類の主要なCMSツールと特徴

 
一概にCMSといっても、世の中にはさまざまなCMSが提供されています。CMS導入を検討したいと思っても、CMSの種類や特徴がわからず、調べるのに膨大な時間を使ってしまうこともあるでしょう。アンダーワークスではこれまでさまざまな企業のCMSを選定し、導入を支援してきました。その経験から、グローバル展開に向いている主要なCMSと、有名なパッケージングおよびマネージドサービスを10種類ピックアップして紹介していきます。
 

あわせて読みたい! 【CMS完全ガイド】CMSのメリットや種類、選定方法や運用方法など

CMSツールにはどんな種類があるのか?

CMSは大きく「契約形態の違い」と「機能の違い」の2種類に分けられます。まずはそれぞれの特徴を理解することで、自社に向いているCMSを選ぶ際の大きな比較軸を知ることができます。
 

契約形態による分類

ライセンスの契約形態によって「オープンソース型」と「パッケージ型(プロプライエタリ型)」に分かれます。
 
オープンソース型とは、ソースコードが公開されているCMSのことです。ライセンス使用料は基本的に無償ですが、パッケージングサービスを利用したり、有償のプラグインを使用したりする場合は別途費用がかかります。特徴は、カスタマイズ性が高く柔軟な開発が可能であることです。有名なCMSの場合は世界中に技術者コミュニティがあり、多種多様なプラグインが日々開発されています。ただし、カスタマイズには相応のスキルが必要となります。また基本的に保守運用は自己責任となり、保証がない点には注意が必要です。
 
パッケージ型(プロプライエタリ型)とは、ソースコードが非公開のCMSのことです。クラウド型と、自社サーバーにインストールするオンプレミス型に分かれます。ライセンス使用料は有償で、CMSとして必要な機能がパッケージとして備わっており、用途に応じてオプションで拡張機能を用いることもできます。オープンソース型と比べるとカスタマイズ性は低い一方で、保守運用サービスが提供されており、セキュリティや安定性の面で優れています。
 

機能による分類

Webページ画面におけるコンテンツの表示方法によって「静的CMS」と「動的CMS」に分かれます。
 
 静的CMSは、事前にCMSサーバー側で保管している完成したHTMLページをフロントエンド側に送り表示するものです。Webサイトとサーバー間のデータのやり取りが比較的単純なため応答速度が速く、HTMLファイルで管理されているため改ざんなどのセキュリティに強いこと、CMSのサーバーがダウンしてもサイト自体は限定的でも稼働することがメリットです。デメリットは、ページを修正するときに一から直す手間がかかることです。ページの更新頻度が少ない官公庁や教育機関などでよく採用されています。
 
動的CMSは、ユーザーがWebサイトにアクセスする都度サーバー側からコンテンツが個別に引き出されてページを構成するものです。コンテンツはユーザー属性等に応じて変えられます。このように、パーソナライズが可能で柔軟性が高い点がメリットです。デメリットは応答時間が比較的長いこと、大量アクセスに対する安定性が低いことが挙げられます。しかし大企業等で採用されるような主要なCMSの場合は、これらのデメリットに対して一定の対策が講じられています。動的CMSは、ECサイトや転職サイトといった会員制のサイトのように、ユーザーごとに閲覧ページを切り替えるニーズが高いWebサイトでよく採用されます。

AEM

AEM(Adobe Experience Manager)は、Adobe(アメリカ)が提供するパッケージ型の動的CMSです。かつては「Adobe CQ5」として知られていましたが、バージョンアップを繰り返し、CQ5.6の段階で名称がAEMになりました。
 

AEMの特徴

AEMの大きな特徴は、PhotoshopやIllustratorといったAdobeが提供する製品群との連携が図れることです。クリエイティブに強く、高いユーザーエクスペリエンス(サイトを訪れてユーザーが体験する情報)をさまざまな端末で提供できる機能が特徴です。AIのAdobe Senseiを用いればコンテンツデータへの自動タグ付けなどが行えるため、コンテンツ管理の負荷軽減も期待できます。また広告配信やコンテンツ管理、アクセス解析といったマーケティングツール9種類が統合されたプラットフォームであるAdobe Experience Cloudとの親和性が高い点も大きな特徴です。
 

AEMのメリット・デメリット

AEMのメリットは、バックエンド側における視認性・操作性のよさです。バックエンド側でコンテンツ管理やページ制作を行う際に、フロントエンド側でどう見えるかなどを含めて視覚的にわかりやすい操作ができます。伝統的にユーザーインターフェースに強みがあるAdobeならではといえます。大量のコンテンツ管理に向いているCMSなので、扱うコンテンツの規模が小さい場合はオーバースペックに感じるかもしれません。
 
【取材記事】アドビが見据えるCMSの未来像—-データとコンテンツの融合(前編)

Sitecore

Sitecore(デンマーク)が提供するパッケージ型の動的CMSです。
 

Sitecoreの特徴

Sitecoreの特徴は、国内外の豊富なパートナー企業です。国ごとのスタンダードに沿った開発を行いたい場合に、国内外のパートナー企業と連携して開発を進められる点が特徴です。世界的に豊富な事績があり、まさにグローバル企業向けのCMSといえます。またSitecoreが提供しているデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)を組み合わせることで、MAや顧客データ分析などが統合されたマーケティング機能を組み合わせることができます。
 

Sitecoreのメリット・デメリット

Sitecoreのメリットは、バックエンド側におけるエディターの使いやすさです。コンテンツと表示するページを分けて2画面で見たまま操作ができるため、効率のよい開発ができる環境が提供されています。その他にもABテスト、メールによるマーケティング、MAなどをオプションで追加できます。尚、対応する業務範囲が広いため自社がCMSに求める要件に合っているかどうかの検証は必要です。
 
【取材記事】コンポーザブルDXPの思想から進化を遂げたSitecoreのCMS(前編)

TeamSite

TeamSiteは、OpenText(アメリカ)が提供するパッケージ型の静的・動的CMSです。
 

TeamSiteの特徴

「大規模CMSといえばTeamSite」といわれたこともあったほどの世界的老舗です。特徴的なのは、外部委託したコンテンツをデータ変換することなく取り込める点です。テンプレートを自社でカスタマイズできる機能も高い人気があり、昔から継続して利用し続けている企業が多いといわれています。
 

TeamSiteのメリット・デメリット

TeamSiteのメリットは、外部の制作委託先と連携した共同作業がしやすい点です。加えて、柔軟に設定できるワークフロー機能により、コンテンツ制作の進捗管理もしやすいCMSです。また複数サイトの一括管理や、他社CMSとの連携対応は実務担当者から高い評価を得ています。単体の小規模サイトや外部連携が少ない場合はオーバースペックになる可能性があります。
 
【取材記事】OpenText™ TeamSiteが長く愛される理由――今こそ問われるCMSの基本的価値とは(前編)

Acquia

Acquiaは、Acquia(アメリカ)が提供するDrupalをベースにしたパッケージングおよびマネージドサービスです。
 

Acquiaの特徴

Drupalがもつセキュリティの高さを基盤として、幅広いパッケージングやマネージメントサービスを提供できる点がAcquiaの特徴です。Salesforceや他社のMA(マーケティングオートメーション)ツールなどと連携しても、セキュリティを落とすことなく維持している点が高い評価を受けています。
 

Acquiaのメリット・デメリット

近年、CMSをデジタルマーケティングツールとして拡張させるニーズが高まる中で、MAやOpenTextTM Experience CDPと連携したり、ヘッドレス対応など幅広く対応できたりする点がメリットです。国内のパートナー企業が現時点では比較的少ないため、技術者コミュニティ形成や国内パートナー企業の拡充により、サポート体制の強化に取り組んでいます。
 
【取材記事】高いセキュリティで世界から高い信頼を得るアクイア(Acquia)製品群の魅力とは(前編)

HeartCore

HeartCoreは、HeartCore(日本)が提供するパッケージ型の動的CMSです。
 

HeartCoreの特徴

アズブル(Asbru)社が開発した製品に日本のHeartcore社がローカライズや機能付加を行った日本を代表するCMSです。日本国内シェアは7年連続で1位*を保持し続けています。「必要な機能をすべて備えたCMS」を標ぼうしています。機能面では、柔軟な進捗管理、関数を用いた動的機能実装、ヘッドレスによるオムニチャネルにも対応するなど、スピード感のある開発が特徴です。
 
*出典:富士キメラ総研発刊「ソフトウェアビジネス新市場」アプリケーション/CMSパッケージのカテゴリ:国内金額ベース
 

HeartCoreのメリット・デメリット

HeartCoreのメリットは、CMSに必要な機能が揃っていることに加えて、国内パートナー企業が多いことです。開発やメンテナンスが比較的円滑に行えます。注意点としては、人によっては画像操作や進捗管理部分に使いづらさを感じるという声がまだある点です。一方で、持ち味のスピード感で機能修正や新規開発によるバージョンアップが進んでいます。
 
【取材記事】7年連続国内ナンバーワンの実績を誇るHeartCore CMSの強み(前編)

WordPress

WordPressは、世界中で利用されているオープンソース型の動的CMSです。
 

WordPressの特徴

いわずと知れた世界最大のオープンソース型CMSです。世界各地のエンジニアが制作したテンプレートやプラグインが公開されています。個人ブログから大規模サイトまで、さまざまなWebサイトに広く利用されています。
 

WordPressのメリット・デメリット

WordPressのメリットは、選択肢の広さと柔軟性です。たくさんあるプラグインやテンプレートの中から選んで、オリジナルなWebサイトを作ることができます。また、ある程度の知識があれば独学でも始められます。デメリットはセキュリティリスクです。プラグインやテンプレートの品質にばらつきがあり、うまく稼働しなかったり、安定性が低くなったりする場合があります。また、バージョン管理を怠るとセキュリティリスクを高めることになるため、自社でのこまめな管理が必要です。

Drupal

Drupalは、世界中で利用されているオープンソース型の動的CMSです。
 

Drupalの特徴

同じくオープンソース型のWordPressと比較して、グローバル企業や公的機関の利用が多い特徴があります。WordPressよりも利用者は少ないものの、世界の100万サイト以上で利用されているといわれています。ホワイトハウスでも採用されるほど、セキュリティで高い評価を得ています。
 

Drupalのメリット・デメリット

Drupalのメリットは、セキュリティが非常に強固である点です。Drupalは専門のセキュリティチームを抱えて監視活動を日々行っており、問題発見後の迅速な対処、頻度の高いバージョンアップなどに取り組んでいます。デメリットは日本国内では利用者が比較的少なく、問題が起きたときに解決策を見つけづらい点です。またWordPressよりも高い構築スキルが求められるといわれています。

KUSANAGI

KUSANAGIとは、プライム・ストラテジー(日本)が提供するオープンソース型CMSのマネージドサービスです。
 

KUSANAGIの特徴

WordPressをはじめとするPHPとMySQLで稼働するCMSを高速化します。キャッチフレーズは“超高速CMS実行環境”。サイト表示の高速化だけでなく、セキュリティ強化や改ざん検知などの運用管理、保守を請け負うサービスを展開しています。 
 

KUSANAGIのメリット・デメリット

最も大きなメリットはKUSANAGIの代名詞でもあるWebサイトの高速化です。運用保守やセキュリティ強化・監視にも対応しているため、オープンソース型の弱点をカバーしてくれます。稼働させるためには一定容量のサーバーが追加的に必要になることと、導入にあたってはサーバーやOSなどに条件があるため事前調整が必要である点は注意が必要です。
 
【取材記事】SSエコシステムの発展を目指した高速CMS環境を提供する、プライム・ストラテジー「KUSANAGI」(前編)

Altis

Altisとは、Human Made(イギリス)が提供するオープンソース型CMSのパッケージングサービスです。
 

Altisの特徴

WordPressをベースとした開発ソリューションサービスです。企業理念は「WordPressと企業間のギャップを埋めること」。レッドブルなどの導入実績があります。
 

Altisのメリット・デメリット

Human Made 社にはWordPressの元共同創立者や経営陣も在籍しているなど、WordPressに対して専門性の高い人材を揃えてサポート体制を敷いているため、あらゆる開発に対応可能なメリットがあります。また、パーソナライゼーションを同じCMSの中でオプション利用可能になるといった点も強みです。WordPressに高度なカスタマイズを加えない場合は活用効果が限定されます。
 
【取材記事】“WordPressのプロ”が開発したAltisの魅力と提供価値(前編)

Wix

Wixとは、Wix.com(イスラエル)が提供するパッケージ型の静的CMSです。
 

Wixの特徴

「ホームページ制作ツール」として公開されており、たくさんのホームページ用テンプレートが公開されています。サイト制作にあたってはコンテンツをマウスドラッグなどで簡単に操作ができます。180カ国以上で使われる初心者向けのサイトビルダーツールです。
 

Wixのメリット・デメリット

メリットは、HTMLやCSSといった言語の知識不要で簡単にサイトを作れることです。デメリットは、テンプレートは豊富にあるものの、自分でつくったりカスタマイズしたりすることができない点です。無料で作れますが、広告やドメイン取得に制限がかかります。

まとめ

CMSにはさまざまな種類があり、各ベンダーが現在進行形で開発に取り組んでいます。求められる機能も広がっており、以前はデータ管理とプログラミング知識に頼らない操作性が中心でしたが、今ではデジタルマーケティング分野やコンテンツのアセット管理へと広がり、「もはやCMSとは何なのか」と議論されるほどになっています。まだまだ今後もCMS業界は変動しますので、引き続きみなさんに役立つ情報をお届けしていけたらと思います。
 

あわせて読みたい! CMSの進化を目指すベンダーの挑戦 | 連載企画

関連記事

デジタルマーケティングジャーナル 一覧