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テクノロジーの進化とユーザーニーズの変化に応じ、挑戦するCMSベンダーの姿を追う連載企画「CMSの進化を目指すベンダーの挑戦」。今回は、CMSの高速化にフォーカスしたプロダクト群を展開するプライム・ストラテジー株式会社の相原氏にお話を聞きました。なぜ同社が表示高速化を課題としたか、そして製品にどのような魅力があるのか紐解きます。

(話:プライム・ストラテジー株式会社 取締役 / 企画開発部管掌 相原 知栄子氏)

OSSエコシステムの発展のために生まれたKUSANAGI

――はじめにプライム・ストラテジー社について教えてください。

プライム・ストラテジーはCMSを高速に動かす「KUSANAGI」というプロダクトの開発・提供と、それに紐づくWebサイトの運用保守やマネージドサービス、インテグレーションサービスなど幅広い事業を展開する企業です。東京本社のほかニューヨークとシンガポールに子会社があり、海外プラットフォームとの連携を各拠点で行っています。

私たちが掲げる企業理念は、「すべてはエンタープライズOSSエコシステム発展のために」です。私たちのプロダクトを通じ、国内外プラットフォームやパートナー企業、そしてエンドユーザーの皆様をつなぎ、OSSをビジネスで利用するすべての皆様と共に発展していきたいという願いを持っています。

――これまでどのような経緯を辿って現在の事業が育っていったのでしょうか。

創業初期は、独自システムを通じたWebサイトの制作や保守などの事業を展開していました。そこからテクノロジーの進化や市場ニーズの変化を受けて、OSS中心という方針で事業の舵を切り、主にWordPressサイトの制作と運用保守へと転換していきました。

ここで課題となったのは、WordPressの速度や安全性です。WordPressをご利用いただくお客様の期待値と現実とのギャップを埋めるため、試行錯誤を重ね、速度や安全性を高めるチューニングに注力してまいりました。その結果、KUSANAGIというプロダクトが生まれ、現在のような事業が確立されていきました。

――高速化できるCMSはWordPressに限られているのですか。

いいえ、最も使われているのはWordPressですが、PHPとMySQLで動くシステムであれば、あらゆるCMSを高速化することができます。企業理念に掲げるように、私たちは幅広いOSSを対象とし、部門ごとに分断されたWebサイト管理や、社内で複数導入されているCMS運用のセキュリティ対策など、あらゆるお客様の課題に対する解決策を提供します。

圧倒的な高速化を実現する“日本発の剣”KUSANAGI最新版

――製品紹介をお願いします。

まず、主力製品であるKUSANAGIについて説明します。KUSANAGIは“超高速CMS実行環境”というキャッチフレーズを冠している、CMSを高速かつ安全に動かすためのバーチャルマシンです。先ほども述べたように、WordPressでの利用ケースが極めて多いですが、他CMSでも同様の効果を発揮することができます。これまではKUSANAGI 8をご愛用いただいていましたが、2021年、KUSANAGI 9をリリースしました。同サービスはCentOS Stream 8版を提供していましたが、2022年にはAlmaLinux OS 8版もご利用いただけるようになりました。

KUSANAGIシリーズの最大の強みは、繰り返しになりますが「スピード」です。速いことは、Webサイトの安定性につながります。例えば、重要度の高い情報を発信してアクセスが集中したとき、表示の遅延などによって閲覧できないユーザーが出てしまうことは避けなければなりません。特に災害時の対応や、自社サービスの障害情報の告知などの場合、誰もが情報にアクセスできるようにしておかなければ、ビジネスの観点でも大きな機会損失につながります。

この速度という強みは、検証によって得られたデータを見るとわかりやすいです。KUSANAGI 9と標準のLAMP環境(※1)を比べた場合、ページキャッシュを使わなくとも約20倍、使えば約2,330倍(※2)倍の高速化を実現します。

※1Microsoft Azure Standard D4as_v4インスタンス (2.35Ghz AMD EPYC 7452 プロセッサ 4 vCPU, 16GiB), Premium SSD LRS, 東日本リージョン, CentOS 7.9.2009, PHP 5.6.40, Apache 2.4.6, MariaDB 5.5.68, WordPress 5.8.2 で計測
※2プライム・ストラテジー調べ

――製品名であるKUSANAGIの由来は?

日本神話に登場する伝説の神剣「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」から取っています。高速であることを強みとした本製品の特徴を、切れ味が鋭い剣に重ねました。また、グローバル展開を想定していたので、日本発信のプロダクトであることも伝わりやすいと考えました。

――KUSANAGIにはどのようなプランの選択肢がありますか。

リリース当初は無償版だけでしたが、現在はビジネス・エディションとプレミアム・エディションも併せた3つのプランからご選択いただけます。

ビジネス・エディションはビジネスでのご利用を想定しており、対応するOSのEOLまでのサポートを保証しています。また、プレミアム・エディションでは当社製品のひとつであるWEXALのご利用も可能です。

――導入実績を教えてください。

AzureやAWS、Google Cloud、GMOなど、国内外28の主要プラットフォームでご利用いただいています。また、世界34カ国248リージョンでの利用が可能(※2022年9月時点)で、国内だけでなくグローバルでサイトを持たれている企業とも相性が良いです。

KUSANAGIをリリースしてから7年になりますが、2022年9月には累計稼働台数は6.5万台を超えました。プレミアム・エディションのご利用に絞ると、累計でおよそ3,200を超えるお客様にご愛用いただいています。

UX改善に特化したWEXALでファーストビューを高速化

――WEXALについても教えてください。

KUSANAGIがサーバーやアプリケーションの動作を高速化させるプロダクトであるのに対し、WEXAL® Page Speed Technology®は画像やCSSを徹底的に圧縮などを行い、通信速度やレンダリングの視点から高速化を実現するプロダクトです。

近年は通信技術の進化に伴い、画像を多様したり、複雑なCSSを用いたりするページが増えています。そこに加え、Google社からUX改善への取り組みも検索アルゴリズムで重視するといった方針が発表されたこともあって、私たちもUX改善に資するプロダクトを開発することを決めました。

WEXALの最大の特徴は、ファーストビューの速度です。ファーストビューの速度は、次のユーザーの行動に大きく関わります。他ページへの回遊を促すためにも、ファーストビューをいかに速く表示できるかが大切です。

WEXALはこのファーストビューの表示速度を最大限に高めるため、AIがページ構成に基づいた最適なレンダリング方法を判断し、処理速度を落とす要因となる要素を自動で除きます。

WEXALを利用することは、Core Web Vitals対策やPageSpeed Insightsのスコア改善に役立ちます。また、画像リソースの大幅な圧縮を通じ、転送量削減などの効果も期待できます。

――WEXALの独自性がわかるポイントも併せて聞きたいです。

WEXALとその内部に組み込まれる戦略AI「David」は、現在国際特許出願中で、来年には認可が承認される予定です。

また、GMOインターネットグループのConoHa WING by GMOとお名前.com レンタルサーバーのエンジンとしてWEXALを提供しているところも特筆すべきところで、現在双方のレンタルサーバーを利用しているユーザーの皆様には、各サービスを通じてWEXALの機能をご利用いただいている形です。


インタビュー後編では プライム・ストラテジー社が注力するCMSプラットフォーム統合サービスに焦点をあて、今後どのようなロードマップで事業を展開していくのか、またお客様にどのような価値を提供したいのかについて詳しく聞きます。

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