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  • 事例から学ぶ!自社に合ったCMS導入を着実に行うためのポイントとは

 
CMSの導入は企業にとって一大プロジェクトであり、導入担当者の責任は重大です。しかし多くの企業を支援するなかで、多くの担当者から「自社のデジタルマーケティング戦略と合っているのかわからない」「実際の運用体制をイメージできない」「暗中模索で膨大な時間をかけてしまっている」といった声をよく聞きます。そこで今回は、2社の導入事例を紹介しながら、自社に合ったCMSを着実に選定するために気をつけるべきポイントを説明していきます。
 

あわせて読みたい! 【CMS完全ガイド】CMSのメリットや種類、選定方法や運用方法など

CMS選定のステップ

CMS導入は主に、「選定」、「導入」、「運用」の3つのプロセスに分かれます。このなかでCMS導入担当者が最もイメージしにくいといわれるのが「選定」プロセスです。この記事では「選定」にスポットを当てて、基本的な3段階のステップを紹介します。
 

導入理由の明確化

CMSの導入理由を明確化するステップがおろそかになっているケースはよく見受けられます。導入理由の明確化に失敗する理由の多くは、デジタルマーケティング戦略が古い、またはブラッシュアップされていないことです。導入後に「こんなはずではなかった」ということにならないように、今一度デジタルマーケティング戦略に向き合い、必要に応じてブラッシュアップや掘り下げを行いましょう。既存のCMSを入れ替える場合は、いまのCMSで実行できていない機能の整理も大切です。
 

情報収集・ベンダーへのヒアリング

CMSで実現可能なことを知るためには、ベンダーに直接問い合わせるのが最も効果的です。ベンダーはさまざまな企業へCMSを導入した経験があるので、幅広い事例や役立つ機能を教えてくれます。また、事前にベンダーと密なコミュニケーションを取っておくことで、選定プロセスに進んだ際に良い提案をしてくれる可能性も高まります。ただし、導入理由が明確になる前の段階での過度な情報収集はおすすめしません。導入後に自社の方針や体制に合わず、定着しない結果を招くケースが多く見受けられるからです。
 

評価基準の作成

ベンダーは自社の魅力を最大限アピールします。多くの主要ベンダーは、最新のトレンドや必要な機能に何らかの形で対応しているため、「御社の要望はすべて満たせます」という回答が返ってくるでしょう。そのため、導入担当者はベンダーをどう比較すればよいのかわからなくなりがちです。そんな時は、経験豊富な第三者の意見を取り入れることをおすすめします。評価基準の作成に携わってもらうのも1つの方法です。自信をもって選定ができ、経営層に対しても説得力をもって報告しやすくなります。

【導入事例1】 医療機器メーカー

アンダーワークスが支援した医療機器メーカーA社の事例を紹介します。CMSの入れ替えに至った経緯や、選定で重視したポイントは、さまざまな企業に共通することが多いため参考になるはずです。
 

CMS導入の理由はグローバル管理体制の構築

A社はBtoC、BtoBの両方でグローバル展開しています。マーケティングは日本の本部が統制を取っていますが、状況が異なる各地域でガバナンスを維持するのに大変な手間がかかっており、人員も限られるなかで細部までチェックできないという課題がありました。そこで、グローバル対応するCMSでマーケティングを統括する仕組みを作り、同時にWeb管理体制を整えて、全体的なガバナンスを強化することを目指しました。
 

選定のポイントは2つ

ベンダーの選定では主に2つの視点を重視しました。1つ目がマーケティングの視点です。A社が展開する地域に信頼できる開発パートナーがいることや、テンプレートを本部で管理しガバナンスを維持できる機能などが挙げられます。
 
2つ目がITサービスの視点です。企業規模などを指標としたベンダーの持続可能性や、自社が展開する地域にサーバーを設置するマネージドプランの存在、SaaSによるサービス提供である点などが選定条件となりました。
 
さらにアンダーワークスは、「導入後」の戦略策定までサポートしました。CMSを活用して、今後実現していくべきデジタルマーケティング戦略と、実現に向けたロードマップを描いて提言し、CMS選定プロジェクトは4カ月間と短い期間でしたが、無事にCMS選定に至っています。
 

CMS導入を成功させるには運用体制の整備が重要

A社が重視したのは、「適切な運用体制があってこそのCMS機能である」という考え方です。近年のCMSは機能が洗練され、さまざまな外部システムと連携しながら企業のマーケティング活動全般を支えるインフラとなっています。しかし、まったく手間がかからないわけではなく、必ず人が介在します。
 
たとえばテンプレート管理について、仮に各地域で利用できるテンプレートを本部が統制しているとします。テンプレートを開発し、各地域で利用できるよう適宜整備する体制が必要ですが、テンプレート構築ができる体制を整えられないとしたら、テンプレートの柔軟性が高いCMSを入れても意味がありません。
 
A社では、管理を内製化しきれない部分はベンダーが提供するマネージドプランを活用して外部委託する判断をしました。重要なのは、CMSを単純な機能比較だけで選ばないことです。管理体制の構築可否や、デジタルマーケティング戦略の具体化を見据えた最適解を検討することが大切です。

【導入事例2】バッテリーメーカー

先に紹介したA社がCMSの入れ替えだったのに対して、ここで紹介するバッテリーメーカーB社はゼロからWebサイトを構築した事例です。
 

デジタルマーケティング基盤としてのサイト構築に迫られていた

B社は電子部品全般を扱う会社のなかの、バッテリー部門が分社化して生まれた会社です。これまで本部にデジタルマーケティングを任せていましたが、分社化により自前のデジタルマーケティング戦略が必要になりました。そこで、アンダーワークスが3カ年のデジタルマーケティング戦略の策定を支援し、MAやSFAとの連携、ABM戦略などの個別施策を整理してきた経緯があります。Webサイト構築は戦略を実現するための施策の1つでした。
 
B社は以前から続けてきたバッテリー単品販売は維持しつつ、伸ばそうとしている電源ソリューションサービスを育成していく方針でした。そこで単品販売とソリューション提供の2軸に対応したWebサイト構築を目指すことになりました。CMS選定プロジェクトの期間は3.5カ月で、無事に選定まで至っています。
 

デジタルマーケティング機能の拡張性と運用体制の両面で選定

CMS選定のポイントは、デジタルマーケティング機能の拡張性と、運用体制における相性でした。
 
デジタルマーケティング機能の拡張性では、機能の豊富さ、SFAなど他の機能との連携、複数言語対応、複数の部署において違う用途で利用できることが重視されました。
 
運用体制では、運用保守に工数がかからないサブスクリプション形式であること、複数の部署で管理運用できること、製品情報はヘッドクォーターが一括管理しつつ各地域独自のマーケティング方針を反映しやすい柔軟性が重視されました。
 

苦労したのはベンダーの比較軸作り

B社が苦労していたのは、ベンダーの比較軸作りでした。ベンダーにヒアリングを行うなど、自社で積極的に情報収集をしていましたが、知れば知るほど「どのベンダーでも対応できるのではないか」「ベンダー間の違いがわからない」と、比較ができない状況に陥っていました。そこでアンダーワークスが助言を行い、評価項目の策定を支援したことで、第三者の客観的かつ専門的視点に基づく評価項目を作ることができ、自信をもってベンダーを選定できたといいます。

まとめ

CMSを導入する経緯は企業によって千差万別で、重視するべきポイントも違います。しかし、共通していることは「デジタルマーケティング戦略との整合性」と「実際に運用体制を築けるか」がCMS導入における成功の鍵を握る点です。ことです。今回紹介した2社は、背景はまったく違うものの、デジタルマーケティング戦略を実現するためのツールとして、そして無理なく運用できるツールとして、必要な機能やベンダーに求める要件を決めていきました。急がば回れといいますが、CMS選定を検討している方は、ぜひ自社の状況を見直してみてください。そこから必要な要件が見えてくるはずです。
 

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